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東京のアンテナショップが大型化傾向に、好調も課題はネット活用と外国人観光客

一般財団法人 地域活性化センターは、平成25年度東京都内の「自治体アンテナショップ実態調査」を行った。この調査によると、都内のアンテナショップ店舗数は54店舗。大型店舗が増えてきており、売上金額、入館者数も増加傾向にある。次年度以降も銀座・有楽町、日本橋への出店が続き、集積効果が進んでいる。一方で、今後集客や売上と伸ばすためには、インターネットの活用や外国人観光客へのPRのための接遇が課題だ。


▼ 店舗数は前年と同数、今後も銀座、有楽町、日本橋に出店続く

都内にある自治体アンテナショップは、増加傾向にあるが平成25年度は前年と同数の54店。詳細にみると、都道府県店が6店増加、市町6店減少しており、都道府県店は過去最高の38店となった。

出店地は、この2~3年は銀座1丁目付近に出店が相次ぎ、有楽町駅前にある東京交通会館周辺から、銀座全体、日本橋、新橋にも広がりを見せている。さらに次年度は日本橋に福島県、銀座に長野県、石川県、新橋に鳥取県と岡山県の共同ショップが出店を予定するなど、集積効果が進んでおり、顧客が回遊することで相乗効果を上げているようだ。

アンテナ1

▼ 店舗面積の拡大傾向に伴い入館者数・売上も上昇傾向

200㎡以上の大・中規模の県の店舗が増えており、物産販売のほかに飲食施設を設けている店が増加。半数以上の28店が飲食施設を設けており、本格的なレストランから、スイーツ(アイスクリーム、ドーナッツ等)や地酒や軽食(コロッケ、さつま揚げ等)など地方の食を気軽に味わえるイートインまで多様化している。

表参道新潟館ネスパス(新潟県)、銀座わしたショップ(沖縄県)など、500㎡以上の店舗は5店舗。また、店舗の大型化に伴って、入館者数も増加傾向にある。山梨県「富士の国やまなし館」は、前年度まで10万人未満の入館者数だったが、平成24年度は20万人以上50万人未満と大幅アップした。

年間売上も上昇傾向にあり、1億円を超える店舗が25店と全体の46.3%。1億円以下は、19店(35.2%)、未回答が10店(18.5%)。7億円以上10億円未満は1店、続く5億以上7未満は3店あり、店舗面積が広い店舗が売上も多い傾向だ。くまモングッズコーナーを設けた銀座熊本館も入館者数、売上とも伸ばしている。

アンテナ人数アンテナ売上

▼ 設立の目的は「特産品のPR」がトップ

設立の目的は、「特産品のPR」「特産品の販路拡大」「観光案内・誘客」「自治体のPR」「地域情報発信」が高く、40ショップ以上が目的にあげている。実際に運営してからみられた効果としては、「特産品の知名度アップ」「特産品の販路拡大」「地域情報発信」「自治体の知名度アップ」の効果が上がったと回答しており、出店した自治体は目的に沿った一定の効果を感じているようだ。また、運営には民間・NPOへの委託するところが8割程度で、民間等の持つノウハウ、スキルを活かして、魅力的な店舗づくりに取り組んでいることがうかがわれる。

アンテナ効果

▼ 課題はネットの活用、外国人来訪者への接遇


今後、集客や売上と伸ばすためには、インターネットの活用や外国人観光客へのPRのための接遇が課題。「ネットを活用した情報発信」については、ホームページ(81.5%)とフェイスブック(40.7%)が多く導入されていた。「外国人訪問者への接遇」の整備は、東京オリンピックに向けて中期的目標として「語学ができるスタッフが常駐」(14.8%)が最も多く、他の項目では1割未満で、整備が遅れていることが浮き彫りとなった。

アンテナ外人

調査は、都道府県を通じて行われ、対象は平成25年10月1日時点で、自治体が主体となって東京に設立した1年以上の常設施設店舗。観光案内所・事務所機能のみの施設は含んでいない。