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航空会社の運賃以外の有料サービスが急増、6年間で3倍に、LCCは機内サービスの比重高く

世界各国の航空会社が運賃以外に設定している有料の機内サービスなど、付帯サービス(アンシラリー)売上が、2016年は前年比13.8%増・674億ドルに達する見込みだ。航空アンシラリー市場のコンサルタント会社、アイディア・ワークス・カンパニー(IdeaWorksCompany=IWC)と、旅行関連のオンライン・プラットフォーム提供大手、カー・トローラー(CarTrawler =CT)社がこのほど独自の調査結果を明らかにした。

両社がまとめた世界市場の調査によると、航空会社のアンシラリー市場は、調査を開始した2010年時点では226億ドル規模だったが、7回目となる2016年は、当時と比較して約3倍に拡大した。今回の予測調査では、世界の主要航空会社178社を対象とした。

IATA統計によると、2016年の航空市場は7400億ドルで、前年比(7630億ドル)ではマイナス成長となる見込み。だがIWC・CT両社の調査結果によると、市場全体に占める2016年の航空会社アンシラリー売上のシェアは9.1%となり、前年の7.8%を上回る勢いだ。調査開始時の2010年(4.8%シェア)比では倍増となる。

2016年のアンシラリー売上(推計値)の内訳は、機内での食事や飲み物、バゲージのチェックイン、プレミアム・シート利用、優先的な搭乗開始サービスなどが449億ドル。残りの225億ドルは、利用客から受け取る料金以外の形での売上で、例えば提携するパートナー企業によるフリークエント・フライヤー(FFP)マイルの購入や、利用客向けの宿泊施設やレンタカー手配などに伴う販売コミッションが占めた。

なお、売上の内訳には航空会社のタイプによってかなりの相違があり、例えば格安航空会社は有料の機内サービスの比重が大きい一方、FFPの売上は大手航空会社が大きくなる。またかつて運賃以外の有料サービス販売に熱心だったのは、運賃を安く抑えるかわりに、付帯サービスは有料化する方針を掲げたライアンエアやイージージェットだったが、最近では、ルフトハンザ・ドイツ航空やエミレーツ航空も、こうしたサービスへの取り組みを積極化しているという。

CTのアイリーン・オマホニー最高コマーシャル責任者(CCO)は「顧客向けのアンシラリー販売を成功させる鍵は、最適なタイミングで、最適なプロダクトを顧客にオファーすることができるかどうか。顧客からの問い合わせを待たず、先にこちらから提案するのが効果的である場合も少なくない」と指摘。「アマゾンの成功事例が示している通り、データ・サイエンスの活用が重要。同社の場合、今や売上の3分の1が、“推奨商品”のアルゴリズム経由でもたらされているとの推計もある。航空会社もデータに基づく予測を積極的に活用すれば、より洗練された形で、付帯サービスや商品を顧客に提案できる。顧客がウェブサイトやアプリにアクセスしてきたとき、何を、どこで、どのような形でオファーするのが好ましいのかを的確に把握することは、航空会社へのロイヤルティー深化にもつながる」という。