トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

ブッキング・ドットコムの宿泊施設の拡大戦略とは? サポート体制からキャンセル無料の考え方まで聞いてきた(PR)

世界2大オンライン旅行会社(OTA)のひとつ、プライスライングループで宿泊予約サービスを牽引するブッキング・ドットコム(Booking.com)。その存在感は、日本においても急激に高まっている。テレビCMやオンライン広告で日本人ユーザーの獲得を積極化する一方、サイトに掲載する宿泊施設の拡大にも注力。2017年4月現在で、登録施設数は1万1300軒を超えるまでに成長した。

「日本のパートナー(宿泊施設)は今後も加速度的に増えていく」と自信を見せるのは東日本地区統括部長のドナ・モリス氏(写真)。英国や豪州、シンガポールなど各国のパートナーサービス部門で活躍し、世界の宿泊施設の現状を知る人物だ。そんなモリス氏に、日本の宿泊施設の課題から同社の支援体制、宿泊施設の取扱いを伸ばすための取り組みを聞いてきた。

日本の宿泊施設の課題とは?

ブッキング・ドットコムでは宿泊施設の営業・サポートを、「東日本」「西日本」「北海道・沖縄」の3つのエリアに分けて対応している。このうち、モリス氏が管轄する東日本は、首都圏を含む東北から中部まで、約6000軒が登録する日本最大のマーケット。多様なユーザーに豊富な選択肢を提供することを目的に、大手チェーンから独立系まで、ホテルや旅館、民宿までさまざまな施設を揃える。

世界の目線からは、日本の宿泊施設はどう見えているのか?

モリス氏は、どのカテゴリの施設においても「ビジネスの観点で日本が大きく異なるのは“伝統的”であること」と話す。“伝統的”とは、目で見える文化に留まらず、お客様に質の高いサービスを提供するために最大限の努力をしようとする姿勢そのもの。「海外とは違うレベルにあり、感銘を受けている」と評する。

そして「外国人旅行者は、そんな“伝統的”な面を魅力に感じ、日本の宿泊施設を利用する方もいる」と見る。

一方で、日本の宿泊施設はビジネス上のデータ活用の点で、世界に遅れをとっている現状を指摘。モリス氏は、日々の宿泊施設とのコミュニケーションで「(同社の)グローバルのデータや情報をどのように活用できるのか、理解していただく活動をしている」という。そうした活動で「日本の伝統的な面を各施設のウリとして最大化、加速化するためにも、私たちのグローバルの知見を提供したい」と強調する。

宿泊施設の支援体制では日本独自の手法も

では具体的に、データ活用の理解を促す活動や同社の支援体制とは、どのようなものなのか?

例えばデータからは、宿泊客の国籍や宿のタイプによって、旅行形態や利用傾向が異なることが分かる。外国人は日本人ほどクチコミをシビアな判断材料としないが、共通して重視されているのは宿泊施設の質の高さと清潔さ。また、欧米の旅行者は宿のファシリティだけではなく、そこでできる体験を重視する。つまり、欧米人の集客にはコンテンツの見せ方がカギになる。

こうした様々なデータで判明した傾向を踏まえ、同社は施設情報の最適化を図っている。サイトに掲載する情報(コンテンツ)に関しては、密な支援を行なうため、日本に6名体制で「コンテンツチーム」を設置して対応しているという。

また、宿泊施設を担当するアカウントマネージャー(営業担当)は、新規契約を進めるだけでなく、施設の収益最大化のサポートも行なう。ユーザーがサイト上で同時に比較検討する他の宿の傾向から、それら踏まえた効果的なプロモーション、パフォーマンスを最大化するのに最適なADR(平均客室単価)、客室稼働率の算出に活用してもらうといった収益管理アドバイスなどだ。

このほか、モリス氏は日本の支援体制の大きな特徴として「カスタマーサービス」をあげる。例えば、ユーザーの問い合わせに対応するコールセンターは、宿泊施設からの問い合わせにも対応。日本のように消費者と宿泊施設の双方に大きなサポートを行なうのは、「世界各国にあるオフィスのなかでも、珍しい」という。

このサポートは、年中無休で日本語対応。今後も特に投資を強化していく方針だ。

一方で、オンライン上でのサポート体制も充実させている。

サイトへの掲載を希望する場合は、4つのステップのみでブッキング・ドットコムに掲載できる専用サイト「join.booking.com/jp」を開設した。自ら、サイト上で施設の登録ができるもの。サインインすれば施設掲載に関係する情報や予約増加のヒントを確認できる。同社としては、「登録すれば、最大43か国語で世界に宿泊施設の情報を発信できる」とメリットを強調する。

専用サイト「join.booking.com/jp」では、自らサイト上で施設の登録ができる

モリス氏によると、契約済みの施設が多い地域からの申し込みは、オンラインからの登録が多く、そうでない地域はアカウントマネージャーによる説明を求められるケースが多いようだ。

そのほか、無料のサービスの一環として宿泊施設のビジネスをサポートする「ブッキング・スイート(BookingSuite)」、料金適正化ツール「レート・マネージャー」、料金分析ツール「レート・インテリジェンス」などの追加サービスなども有償で提供している。

こうした幅広く、選択できる支援体制を整備することで、モリス氏は「日本のパートナー(宿泊施設)は今後も加速度的に増えていく」と自信を見せた。

間際の値付けは値上げを提案

ブッキング・ドットコムがユーザーに提供する大きなメリットは「宿泊当日のキャンセル無料」の設定だ。ユーザーにとって予約しやすい制度である一方、施設にとっては、当日キャンセルやノーショーは痛手になる。ブッキング・ドットコムとしては、これをどうみているのか?

モリス氏は、「ユーザー第一を掲げるブッキング・ドットコムとして、ユーザーにフレキシビリティを提供するのが目的」と理由を説明した上で、次のように状況を語った。

「一定のキャンセルがあるのは認識しているが、需要の引上げと柔軟性のバランスだと思う。キャンセルが発生しても、ブッキング・ドットコムに掲載することで予約が増え、収益が高まったというフィードバックも参入施設からもらっており、パートナーのビジネスを十分にサポートできると考えている」。

キャンセルのリスクを超えたメリット、集客ができるという考え方だ。

現在、同社に掲載する宿泊施設は、大手チェーンホテルから個人経営のB&B、バケーションレンタルの民泊まで、世界200か国以上に約122万軒。日本では、外資系OTAとして、これまでインバウンド集客で注目されてきた同社だが、近ごろは日本人ユーザーの予約も拡大しているという。どちらも成長のカギは、宿泊施設の選択肢の広さ。今後の宿泊施設との連携拡大に注目したい。

ブッキング・ドットコム登録サイト「join.booking.com/jp」

編集協力:ブッキング・ドットコム(Booking.com)


記事:トラベルボイス企画部