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関西のインバウンド観光動向レポートを発表、アジア旅行者の民泊利用は約1割に ―日本政策投資銀行

日本政策投資銀行関西支店はこのほど、「関西のインバウンド観光動向」と題する調査レポートを発表した。アジア8か国・地域からの関西訪問経験者を対象に分析したもの。

それによると、旅行形態では全体の37.5%が「航空券とホテルを個別手配」と回答。「パック旅行(自由行動日なし)」は全体の27.7%、「パック旅行(自由行動日あり)」は14.5%にとどまり、個人手配による海外旅行(FIT)化の傾向がみられた。

英語圏とLCC増便がFIT化をけん引

ただし国・地域別にみるとFIT化の傾向は異なる。例えばシンガポール(全体の53.5%)、マレーシア(同48.3%)、香港(同46.9%)、韓国(同46.5%)などで約半数が個人手配旅行を実施。一方で、タイは「パック旅行(自由行動日なし)」(35.7%)が最多となった。

また、2013年からの4年間の全体推移をみると、FIT割合は2013年の24.9%から2016年の37.5%へと12.6ポイント増加。特にマレーシアは16.2%から48.3%とFIT化が急速に進む状況に。また、中国は10.2%から20.4%へ、台湾が17.4%から33.5%へと拡大する様子がみられる。

これらの状況から同レポートでは、香港やマレーシアなど英語を広く使用される地域では個別手配をおこないやすいと分析。また、台湾などLCCの増便効果もみられるとしている。

海外個人旅行(FIT)割合の推移は以下のとおり。

DBJ:発表資料より

民泊利用は約1割、5割以上が日本旅館に宿泊

宿泊状況をみると、関西訪問経験者の利用最多は日本旅館(55.9%)。続いて高級ホテル(43.3%)、安価なホテル(35.7%)だった。民泊利用者は11.1%にとどまり、前年比ほぼ横ばいに。また、訪日旅行中の平均滞在日数は7.2日、平均宿泊箇所は3.2か所だった。

アジアからの関西訪問経験者に聞いた「利用したことのある宿泊施設」は以下のとおり。

DBJ:発表資料より

情報収集は「ガイドブック」が中心、タビナカでは訪問先で入手できる案内を駆使

アジアからの旅行者の情報収集方法は、旅行前も旅行中も「旅行ガイドブック」(訪日前は47.5%、訪日後は41.1%)が最多。タビマエでは個人ブログ(38.4%)や日本政府観光局や観光庁のホームページ(37.4%)、クチコミサイト(36.8%)と続く。

一方で、訪日後の情報収集は「観光案内所」(35.8%)、「無料パンフレット・小冊子」(34.0%)、「ホテル・旅館の従業員、店のスタッフ」(32.4%)が上位に。訪日旅行中には引き続きガイドブックを参照しつつ、訪問先で入手する案内情報を活用する傾向があるようだ。

訪日前の情報収集状況は以下のとおり。

DBJ:発表資料より

なお、訪日後に決定したものとしては、「食事場所・レストラン」(44.0%)や「買い物スポット」(39.9%)が上位となった。ただし、「日本につくまえにすべて決めておいた」との回答も約3割(33.3%)を占める。地域別では、香港やマレーシア、シンガポールで事前にすべて決定する割合が多いことが判明している。

この調査レポートは、日本政策投資銀行と財団法人日本交通公社(JTBF)が共同でアジア8地域と欧米豪4地域を対象に実施した「訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年度版)」の結果を分析したもの。この調査の対象は20歳から59歳までの男女で、回答者数は6198名(アジア4077名、欧米豪2121名)。対象国・地域は韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国、オーストラリア、英国、フランス。調査期間は2016年6月23日から7月8日まで。関西でのインバウンド観光をテーマとしたレポートでは、アジア地域の旅行者にフォーカスして分析をおこなった。