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民泊サイトの勢力図に変化? ブッキングドットコムが民泊の業績を公表、Airbnbに肉薄か

民泊市場では、エアビーアンドビー(Airbnb)が継続的に市場シェアトップを走り続けている印象が強いが、旅行予約サイト大手のブッキング・ドットコム(Booking.com)でも民泊施設の掲載数が多いことを知る読者も多いことだろう。これまで数値に現れていなかった事実だが、Booking.comの親会社ブッキング・ホールディングスは、2018年の同社が取り扱うバケーションレンタル、アパート、ユニーク物件などの民泊について、初めてその業績を公表した。同社の民泊ビジネスがAirbnbとしのぎを削るまでに成長しているようだ。

それによると、民泊の収益は28億ドル(約3120億円)となり、ブッキング・ホールディングス全体の年間総収益の実に20%を占めるまでに増加した。2018年第3四半期だけを見ても、10億ドル(約1120億円)の収益を上げた。

また、2018年末時点の世界での掲載物件数は前年比18%増の570万件。Booking.comのアクティブユーザーのうち40%が過去12ヶ月に以内に、掲載民泊物件を予約したことも明らかにしている。

一方、米国の観光専門ニュースメディアSkiftによると、Airbnbが昨年11月に公表した2018年第3四半期の収益は、ブティックホテルや体験プログラムの「エクスペリエンス」を加えほぼ10億ドルで、Booking.comの民泊関連収益と同程度。Skiftの調べによると、2018年の全体収益は約44億ドルで、そのうち99%が民泊からの収益だという。

Airbnbが先ごろ発表した3月付の数字では、グローバルで登録されているリスティング数が600万件を超えたことが明らかになった。中南米、アジア・パシフィック、中東、アフリカのリスティング数が特に伸長し、メキシコのリスティング数は2014年比で53%増に達するという。

Booking.comは、民泊関連の収益を公表したものの、その増加率や国別の内訳などについては明らかにしていない。しかし、Bookimg.comは収益の点でAirbnbに迫り、掲載物件でも他社を凌ぐほどまでに拡大。Airbnbの独壇場だと思われていた民泊市場での競争環境に変化が起きているのは確かなようだ。

ブッキング・ホールディングスCEOのグレン・フォーゲル氏は民泊について、今後アメリカのビーチリゾートやスキーリゾートでの一軒家物件を増やしていくとともに、物件オーナー向けにプリペイドなど決済方法を充実させていく方向性を示している。

なお、Airbnbは、先ごろ日本国内のリスティング(掲載物件)数を発表。昨年の民泊新法の施行時には、大きく数を落としていたが、2019年2月16日時点で4万1000件になったと発表。Booking.comでは、国別の民泊掲載数は公表していない。