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米エクスペディアとマリオット、新たな契約で合意、直販政策のカギは譲らず「新しい流通のカタチ」へ

(c) stock.foto

米エクスペディア・グループとマリオットホテルが、新しい流通契約でこのほど合意したことが明らかになった。両社間の契約は、2018年11月で期限を迎えており、数か月に渡る交渉が続いていた。2016年のスターウッド買収により、世界最大級のホテルチェーンとなったマリオットが、OTA大手との間で、どのような合意にこぎつけるのか注目されていた。

スキフトの最新報道によると、エクスペディアとマリオットは2019年4月11日、「両社にとって利益のある条件と、両社の経営戦略の推進につながる内容で合意した」とコメント。エクスペディア・グループ傘下のOTAサイト上で、マリオット傘下のホテルブランドの予約取扱いを継続する方針を明確に示した。

また、両社が2016年から提携している「マリオット・バケーションズ」のパッケージ商品流通については、今後、エクスペディアが従来以上に重要な役割を果たしていくこと、さらに今年第4四半期をめどに、エクスペディアのテクノロジーを活用した新しいイノベーション開発に両社で取り組む計画としている。両社の共同コメントでは、「単発での予約取扱いを越えた新しい流通の形」と説明しているが、具体的な内容などは不明。

一方、新しい合意内容をめぐり、関係者が注目していたのが、マリオットの直販政策のカギとなっているロイヤルティ・プログラムの扱い。マリオットでは、今年から名称を「Bonvoy(ボンヴォイ)」と変更したところだが、エクスペディア傘下のOTA経由でのポイント付与などは、従来同様、認めなかったようだ。

エクスペディア系列の割引価格サイト「ホットワイヤ」では、従来よりもマリオットの取扱いが拡大する見込み。しかし、主力のエクスペディア・ドットコムやホテルズドットコムで、マリオットの取扱いがこれまでより増える可能性は低い。マリオットでは、OTA各社に卸しているレートよりも低いレートを自社サイトのロイヤルティ会員向けに提供しており、これがエクスペディアとの関係悪化の一因となっていたが、この点についても、大きな流通政策の見直しはない模様だ。また、今回の契約で手数料率の削減があった場合は、ホテル・OTA業界に与える影響は大きいが、この点は明らかになっていない。