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プリンセス・クルーズ、日本の寄港地で地元体験ツアーを実施、国交省の施策で、キーワードは「本物」「特別感」など

プリンセス・クルーズは、地方での体験ツアーを組み込んだ「ローカル・コネクション」プログラムを発表した。今年4月から日本の21寄港地で30本のツアーを設定する。これは、国土交通省港湾局が推進する「クルーズ船による上質な寄港地観光」に基づくもの。同省と外航クルーズ3社は昨年4回にわたって意見交換を実施し、寄港地となる自治体とのパートナーシップのもと、共同で寄港地観光プログラムの造成に取り組んできた。プリンセス・クルーズのツアーはその最初の試みとなる。

「ローカル・コネクション」プログラム発表に合わせて開かれた報告会で、港湾局長の下司弘之氏は「訪日クルーズが過去5年間で14倍以上に増加しているなか、旅行者の満足度向上と地域への経済効果に対する要望が多い」と話し、この取り組みの背景を説明した。同省では今後も全国クルーズ活性化会議のメンバーと協議し、この取り組みを全国に広げていく考えだ。

「ローカル・コネクション」では、各寄港地に地元をよく知るローカルエキスパートを選定。加えて、港での受け入れをサポートするポートエキスパート21人、地元のシェフや料理人21人、酒造やお茶など飲料関係16人、芸術家や職人など17人、文化伝承者4人と提携し、ツアーを造成した。同社副社長のブルース・クルムリン氏は「乗船客のローカル体験の需要は非常に高い」としたうえで、ツアー造成のキーワードとして本物、有意義、個人的、特別感の4つを挙げた。

プリンセス・クルーズ副社長のブルース・クルムリン氏

今回「ローカル・コネクション」が設定された寄港地は釧路、小樽、函館、青森、石巻、酒田、清水、金沢、敦賀、四日市、鳥羽、和歌山下津、大阪、舞鶴、境港、松山、高知、油津、鹿児島、那覇、石垣島。たとえば、食では酒田での「東北銘醸の試飲と寿司職人との昼食」、飲料では鹿児島での「お茶の里と沈壽官窯」、芸術では境港での「奥出雲たたらと刀剣館」、文化では四日市での「伊賀上野城、忍者ショーと忍者ランチ」などを用意する。

プリンセス・クルーズでは乗船客について、日本人と訪日外国人が半分ずつ(クルムリン氏)と想定。今年の実績データを分析したうえで、来年以降体験ツアーの内容の改善や寄港地の拡大につなげていく考えだ。

また、クルーズ船の大型化による下船客の増加で、少人数参加の体験ツアーでは受け入れに限界があると予想されるが、クルムリン氏は「バランスが大切。各地のエキスパートと適切な人数について話し合う必要がある。今後はできるだけオプションを増やすことが必要だろう」との考えを示したうえで、「ローカル・コネクション」の目的は地域経済への貢献と持続可能な観光であることを強調した。