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なぜアジアはデジタル化が急拡大したのか? 「スーパーアプリ」「モバイル決済」などの特徴を分析 ―英ユーロモニター

英調査会社ユーロモニター・インターナショナルがこのほど「デジタル化するアジア ―世界的なトレンドを形作る影響力」と題するトレンドレポートを発表した。アジア太平洋地域におけるデジタル化の状況を解説し、「なぜ世界はアジアに注目すべきなのか」という観点で分析したもの。

アジアの成長をけん引する要因は「ソーシャルコマース」「スーパーアプリ」「モバイル決済」

同社の調査によると、2018年の世界のデジタルコマース市場うちアジア太平洋地域が占める割合は41%。加えて「ソーシャルコマース」「スーパーアプリ」「モバイル決済」の3分野の成長がアジアで顕著だという。

  1. ソーシャルコマース:ジェネレーションZ世代(1990年後半~2010頃までに生まれたデジタルネイティブ世代)がソーシャルメディアのプラットフォームで買い物をする上位15か国のうち、7か国がアジア市場に集中しているなど、アジアのユーザーが世界の消費者グループをけん引している様子が見受けられる。

  2. スーパーアプリ:東南アジアの配車サービス市場で圧倒的なシェアを持つ「Grab」、インドネシアの「Go-Jek」など、日常の会話やライフスタイル、決済、小売などの機能を1つにまとめた「スーパーアプリ」の台頭もアジアで特徴的な現象。

  3. モバイル決済:アジアの消費者はモバイル端末で総計1.6兆ドル(約176兆円)規模の取引を実施。中国で約5億人のユーザーを持つAlipayやWeChat Payのほか、シンガポールでは27種類ものデジタルウォレットが存在するなど、アジアは「デジタルウォレット」分野でも世界に先駆けて新たなトレンドをリードしている状況だ。

そして今後は、世界経済のバランスは徐々にアジア中心にシフトすると分析。特に、アパレルやフットウェア、オンラインフードデリバリーなどは若い世代の消費者の利用が拡大し、市場が成長していく可能性があるとみている。

なお、レポートでは、アジアの複数の国で政府が規制を設ける動きも説明。例えば日本では「キャッシュレス」を広めるための政策や規制が登場しているほか、シンガポール政府はQRコードを用いたデジタル決済の標準化を実施。インドでは、アマゾンなどの巨大EC企業が子会社の在庫を制御したり販売することを禁止するなど、不公正な市場環境を取り締まることに積極的な動きを見せている。

詳細レポート(日本語)は以下からダウンロードできる。

「デジタル化するアジア:世界的なトレンドを形作る影響力」