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JR東日本、旅行販売をネットにシフト、その背景と今後の店舗の役割を担当者に聞いた

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東日本旅客鉄道(JR東日本)が販売体制を店舗からインターネットへと大きく舵を切る。駅で個人型パッケージツアーを販売する「びゅうプラザ」が営業終了するニュースが話題を集めたが、その背景を観光産業の国際会議「WiT Japan2019」に登壇したJR東日本の担当者に聞いた。

同社は将来的な旅行商品のオンライン販売へのシフトを目指す方針の一環として、2022年3月末までに、商品販売を行う機能としての店舗を終了する。その後、店舗は顧客接点型拠点(仮称)として、IT弱者のフォロー、訪日客や地域顧客への地域に根差した情報発信を行う場に転換するという。

店舗販売終了の背景には、パッケージツアーの販売減少、少子高齢化による担い手不足、デジタル化など複合的な経営環境の変化がある。同社鉄道事業本部営業部課長、観光流動推進グループリーダーの鴇澤良次氏は「テクノロジーの進展とともに、時代に合わせ、発想を根本から変える。旅行商品のオンライン販売はこれから正念場になる」と語る。

一方で、びゅうプラザには高齢者を中心にリピーターも少なくないため、インターネットでの購入方法を店舗で案内するなど、IT弱者が困らないようなフォロー体制をとっていく。びゅうプラザの営業終了を3年前倒しで発表したのも、そのためだという。使いやすいシステムへと整備するとともに、店舗販売終了後もコールセンターや顧客接点型拠点でサポートを行う。

今後は、新しい販売体制の構築に向けて予約サイト「えきねっと」の機能を強化。旅行は交通と宿泊を選んで組み合わせる価格変動型のダイナミックレールパックに特化する。なお、駅でJR切符を販売する「みどりの窓口」の営業は続けるが、2022年までにチケットレスの割合を半分程度に引き上げる計画もある。