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HIS、ユニゾHD株を公開買付けへ、「ホテル100軒構想」の実現へ保有比率45%に設定

エイチ・アイ・エス(HIS)は、ビジネスホテルチェーンを展開するユニゾホールディングス(ユニゾHD:東証1部上場)に対する公開買付け(TOB)を実施することを発表した。届出当初の買付け期間は、2019年7月11日~8月23日の30営業日で、買付け価格は普通株式1株につき3100円(ユニゾHDの7月10日終値は2390円/前日比400円増)。HISでは現在、ユニゾHD株の4.79%(163万9500株)を所有しており、公開買付けでは買付け予定数の上限を45.00%(1539万9200株)に設定。40.21%分(1375万9700株)を取得し、主要株主として協業を目指す。

HISによると、今回の公開買付けは、資本関係のさらなる強化により緊密な協業関係を構築し、双方の利益拡大を図るのが目的。ユニゾHDでは国内で25軒のビジネスホテルを3ブランド体制で展開しており、HISはそのホテル事業のノウハウと、首都圏を中心とする不動産事業の経験を評価した。

公開買付け後は、ユニゾHDの事業継続と展開を尊重しつつ、HISの店舗やオンライン販売、グループ会社など、グループプラットフォームによるホテル販売、海外ネットワークを活かした海外展開の実現などを行ない、ユニゾHDの利益拡大を図る。同時に、HISはユニゾHDのノウハウ活用による不動産の調達や建設、保守・管理能力を向上させ、HISの利益拡大も図る考えだ。

具体的には協業により、HISの稼働中33軒と建設・交渉中の34軒、ユニゾHDの25件を合わせ、国内のホテル件数が92軒となり、国内主要ホテルチェーンで9位にまで拡大。HISの「ホテル100軒構想」の実現が視野に入る。さらに、不動産事業の拡大により「ビヨンド100軒」に向けた体制を早期に確立。両社は最適なパートナーになり得るとしている。

HIS公開買付け開始に関する説明資料よりHIS公開買付け開始に関する説明資料より

HISでは2018年9月下旬以降、市場内取引で断続的にユニゾHDの普通株式を1株当たり1942円~2409円で取得してきた。2018年12月中旬から2019年4月中旬にかけては複数回、ユニゾHDに対して資本提携を含む業務提携の可能性の協議に向けた面談を申し入れたが、応じられなかったという。買付予定数の上限45.00%は、これを踏まえて設定したもの。ユニゾHDとの本格的な協議に進むためには、会社法上の特別決議の拒否権を確保する程度の普通株式を取得することが必要としている。

公開買付けでは、応募株券の総数が買付予定数の上限を超える場合、その超える部分の全部または一部の買付はしない。また、上限以下の場合は、応募株券のすべての買付けを行なう。これにより、HISの公開買付けによる購入金額は、最大約427億円になる見込み。

なお、ユニゾHDの決算説明資料では、大株主の欄にHISが所有割合4.5%でトップに記載されている。ユニゾHDの2018年度(2019年3月期)の業績は、売上高が約561億円、営業利益が約176億円、経常利益が約118億円、当期純利益が約119億円で、右肩上がりの推移が続く。ホテル事業も、売上高が前年比27%増の約130億円、営業利益は8.4%増の約20億円と好調。現在、日本国内の都心、大都市、地方の中核都市中心部で25軒のビジネスホテルを3ブランド体制で展開しており、客室稼働率は71.2%、平均客室単価(ADR)は9321円、インバウンド比率は28.0%だった。