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HIS、ユニゾHD株の公開買付けで「質問状」に回答、目的やシナジー効果の想定など説明

エイチ・アイ・エス(H.I.S.)は2019年7月30日、公開買い付け(TOB)に関してユニゾホールディングスから受けていた質問への回答を公開した。

7月10日、HISがユニゾHDに対する公開買付けの実施を発表していたが、ユニゾ側はTOBの目的やその後の提携内容、シナジーの有無、価格の根拠などが明確でないと判断。23日には意見表明を「留保」とする旨を発表し、HISに対して質問を提出していた。

ここではまず、ユニゾからの質問に対応する形で、HIS側の不動産事業やホテル事業、過去の買収実績などを回答。詳細内容や実績、社内体制や、情報のネットワークについて具体的な説明を提示している。

また、公開買付けの経緯や内容、価格に関する質問のなかでは、TOB後もユニゾの経営の独立性を確保する考えであることを説明。同TOBの目的は、HISがユニゾHDの総議決権の過半数を取得することではなく、両社の協力関係の構築を通じたホテル事業や不動産事業の成長にあると回答している。

さらに、公開買付けの手法を選択した理由や、公開買付け開始の直前まで具体的な条件や開始日をユニゾ側に通知しなかった点については、「公開買付け者(HIS)が、ユニゾHDの資本的関係をより強化したうえで、双方の企業価値の向上を目的とした協業の可能性に関する協議を進めたいと考えた」と回答。HISがユニゾHD株式を45%となるまで買い増すことで、協議を早期に開始する考えであったことが示された。

そのほか、TOB後の事業シナジーに関する質問では、国内および北米の不動産事業それぞれについて、両社が連携することで事業拡大と企業価値向上が期待できるとの説明を記載。ホテル事業では、HISの強力なホテル販売網を通じてユニゾへの送客を実現、また、HISの旅行商品にユニゾのホテルを組み込む可能性なども示唆している。

なお、HIS側が当初、「2018年12月中旬から2019年4月中旬までに、ユニゾに対して『不動産事業及びホテル事業の業務提携・資本提携の検討を含め、ユニゾHD企業価値向上のための具体的な協議を行う機会を設けていただけるように打診』した」と説明していた内容については、質問に回答するなかで一部を訂正。実際には、12月中旬から国内大手証券会社に対してユニゾとの協業の打診を依頼し、2019年2月に協議の機会設定に関する打診をおこなったと回答している。この内容に合わせ、HISは2019年7月11日付の公開買付届出書の記載を訂正。HISがユニゾに対して協議の面談を申し入れた時期や面談を申し入れたのが証券会社であることなどを修正・付記している。