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国交省、航空系の2020年度予算に4500億円、無人車両技術や空飛ぶクルマ導入に向けた整備など

国土交通省航空局は、2020年度の概算要求をまとめた。それによると、要求額は2019年度予算比8.8%増(368億円増)の4517億円。歳入は、一般会計からの受入が870億円(前年度760億円)、空港使用料収入が2499億円(同2373億円)、雑収入等が1148億円(同1016億円)を見込む。

概算要求にあたっての2020年度の基本方針は(1)航空ネットワークの充実、(2)セキュリティ・セイフティのさらなる向上、(3)航空イノベーションの推進、の3点。

首都圏空港の発着容量を世界最高水準に拡大する取り組みと同時に、地方空港の整備拡充、防災・減災対策を実施。また、テロに強い空港実現に向けたセキュリティレベルの向上のほか、ストレスフリーで快適な旅行環境の実現に向けた各種手続きの省力化や自動化を含めた航空イノベーションに取り組んでいく。

以下、主要な予算項目を抜粋する。

航空ネットワークの充実

航空ネットワークの充実に関して、羽田空港関連では616億円(前年度610億円)を要求。都心からのアクセス利便性の向上と同時に、拠点空港としての機能拡充を実施。それに伴う環境対策のほか、老朽化対策も進めていく。

成田空港では、46億円(前年度81億円)を要求。「2020年までに空港処理能力を約4万回拡大」に向けた取り組みを実施。LCCの成長に合わせた能力増強策として、第3ターミナル増築にともなうCIQ施設の整備なども進める。

また、関西空港・伊丹空港は、前年度の倍増以上となる77億円(前年度31億円)を要求。両空港における多額の債務の早期返済を図りつつ、関西空港の国際拠点空港としての機能再生・強化を推進。同時に、両空港の適切な活用で関西圏の航空輸送需要拡大につなげる。

セキュリティ・セイフティのさらなる向上

ここでは、航空保安対策の強化に32億円(前年度112億円、国際拠点空港予算の内数)、小型航空機に関する総合的な安全対策の強化に6500万円(前年度6000万円)、無人航空機の安全対策に非公共予算1億9000万円(前年度7000万円)、国産旅客機の開発に伴う安全性審査について1億4000万円(前年度1憶1700万円)を要求。

保安対策では、ボディスキャナーをはじめとした高度な検査機器の導入を推進。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、主要空港を中心とした導入をおこない、大会終了後は全国の空港への入れ替えを進める考えとしている。

航空イノベーションの推進

地上支援業務の省力化・効率化に向けた無人車両技術の導入促進事業として5000万円(前年度7000万円)を計上。また、都市部での送迎や離島・山間部の移動手段につながる「空飛ぶクルマ」など、次世代航空機の社会実装に向けた環境整備に9400万円(前年度1000万円)を要求している。

そのほか、航空交通の安全確保や航空交通容量の拡大に向けた航空路整備事業として、440億円(前年度352億円)を要求している。

令和2年度 航空局関係 予算概算要求概要(PDFファイル、31ページ)