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星野リゾートがハワイに初進出、星野代表「北米進出への重要な施設」、環境経営にも注力へ

星野リゾートが海外展開の一環で、米国・ハワイ州に進出する。オアフ島の「The Surfjack Hotel & Swim Club(ザ サーフジャック ホテル & スイム クラブ)」を2020年1月15日に「星野リゾート サーフジャック ハワイ」として運営を開始するもの。定例のプレス発表会では、同社の星野佳路代表が「日本以外の場所で展開できる実力をつけていきたい」と意気込みを語り、ハワイでの展開を北米や欧州に進出するための足場固めとしていく方針を明らかにした。

ハワイで展開する新施設は、ビーチやショッピングエリアに徒歩圏内のワイキキの中心地に立地。ワイキキを満喫できるレトロ・ブティックホテルがコンセプトの112室だ。1960年代のレトロなハワイをベースにモダンなデザインとし、地元アーティストが手掛けた装飾を随所に配置しているという。

既存の施設を星野リゾートが運営受託するもので、星野代表は同社の旅館・界ブランドで展開する「ご当地部屋」「ご当地楽(体験)」を再現できる施設であることを強調。「旅館メソットをそのままできる場所」と自信を見せた。

報道資料より

星野リゾートの海外展開では、2015年にタヒチ・ランギロア島の「星野リゾート Kia Ora ランギロア」で展開をスタート(2019年5月に契約満了で運営終了)。その後、2017年インドネシア・バリ島に「星のやバリ」、2019年6月に台湾・台中に「星のやグーグァン」を開業してきた。今回のハワイは4例目。星野代表は海外展開の経験が積みあがってきていることを強調し、今後も積極的に海外で運営する施設数を増やしていきたい考えを示した。

そして、新たにハワイで運営する施設は、北米展開を目指すうえで「重要な施設」との位置づけ。「ハワイでの成功なくして、北米へ展開はない(星野氏)」として、新施設の運営で北米でのホテル運営におけるノウハウや人材確保を進めていくという。

星のやバリの宿泊者の国別構成比。当初は日本人が多かったが、外国人の集客が増えてきているという(プレゼンテーション資料より)

国内でも新規開業を続々、環境経営にも着手

プレス発表会では、同社の事業展開で来年に向けて国内外で8施設を開業することも説明された。2019年は、6月に台湾に「星のやグーグァン」、10月に「西表島ホテル」、11月には「リゾナーレ那須」の開業。2020年には、新たに5施設の展開を計画しており、総運営数は45施設に達する見込みだ。さらに、未決定のプロジェクトとして横浜、水戸、北米、中国でも話が進んでいることも明らかにした。

特に、沖縄県内には今年と来年にかけて3施設を開業させる(2019年10月に「西表島ホテル」、2020年4月に「リゾナーレ小浜島」、5月に本島に「星のや沖縄」)。星野氏は、沖縄のホテル運営では「オフシーズンの経営が最重要」との考えで、7・8月を除くシーズンをどう運営するかにポイントを置いているという。「(沖縄では)ビーチリゾートではだめ。沖縄らしさを盛り込んだ文化リゾートにしていくべき」との考えを強調した。その一環として、「星のや沖縄」が位置する本島の読谷村にホテルと同時期に日帰り施設も開業させる予定だ。

また、同社では今後、環境経営にも注力する。客室では、ペットボトル入りミネラルウォーターの提供を停止。11月に開業するリゾナーレ那須でスタートし、年内をめどにリゾナーレの全施設で展開を予定しているという。

星野氏は、こうした環境経営について「経営に負荷をかけないことが重要。不景気になったときにコストとして切られることがないように、コスト面で犠牲をはらわずに工夫によって環境を守っていく」考え。星のや軽井沢では、環境に負荷をかけないホテル運営が進んでおり、宿泊者からの評価も高いという。「(顧客は)環境にいいから泊まるわけではないが、ブランドの信頼を得るためには重要」とその意義を強調した。