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ツーリズムEXPO2019、大阪開催でチーム関西が大きな存在感、デジタル分野への注目も高く

初の大阪開催となったツーリズムEXPOジャパン(TEJ)が2019年10月24~27日の4日間で開催された。環境問題や双方向ツーリズムの重要性、デジタル分野での最新トレンドが語られ、開催地である大阪とともに近隣府県のオール関西が大きく存在感を示した。

2021年のワールドマスターズゲームズ、2025年の大阪万博など大型イベントが続く関西。会場内にはオール関西で盛り上げる大型ブースを設置して「スポーツ、食、ウェルネス、笑い」をコンセプトに、鉄道各社・商工会議所・大学・人気たこ焼き店などが場内を盛り上げた。また、初日のウェルカムレセプションには、大阪府から吉村洋文知事も来賓として登場。関西発のツーリズムの発展を祈願した。

大阪府知事の吉村洋文氏がTEJ初日のウェルカムレセプションに登場。

さらに、初開催となったIRゲーミングEXPO。大阪でIR構想を打ち出した2009年当初は、IR(統合型リゾート)という言葉の認知度が低く、IR=カジノという印象から誘致反対の声も少なくなかったが、基調講演に登場した大阪府・大阪市の特別顧問を務める橋爪紳也氏は「社会の価値を刷新することが万博やIRのレガシーである」などと力説した。

IRゲーミングEXPOでは、会場内でIR候補地のプロジェクト詳細や進捗が発表されたIR運営各社がそれぞれの特徴を生かしたブースを設置

第3回目となったTEJの観光大臣会合は、10月24日、19カ国の観光大臣・観光行政トップと国連世界観光機関(UNWTO)など観光組織の代表らが一同に会した。「各国の先進事例をできるだけ多く学び合い、今回参加していない国にも広く共有したい」とUNWTOポロリカシュヴィリ事務局長が呼びかけ、参加者のスピーチと取り組み事例が共有された。

時期を同じくして、北海道では10月25日・26日にG20の観光大臣会合が開催されている。そこでは、持続可能な観光の発展のためにオーバーツーリズム解消への取り組みを盛り込んだ宣言が採択され、国内外の報道各社が高い関心をもってそれを報じた。こうしてTEJの会合とともに、国内外に課題と取り組みが発信されたことは大きな一歩といえるだろう。

大臣会合の冒頭では、民間部門における世界観光倫理憲章の署名式を開催。日本旅館協会や宿泊施設らが署名した。TEJの出展ブースでも持続可能な観光への取り組みが一端が垣間見られた(ハワイ州観光局のブース)

注目を集めた旅行×デジタルのあり方

今回、大きく注目を集めたテーマのひとつがデジタルテクノロジーと旅のあり方だ。テーマ別シンポジウムでは、デジタルマーケティングが2018年に続き、2年連続で取り上げられた。旅行者のほとんどがスマホをはじめとしたデジタルデバイスを随時携行するのが当たり前になった今、かつてオフラインだった旅行者がオンラインのOTAになり、スマホ対応やアプリ提供を始めるようになっている。

モデレーターを務めたトラベルボイス代表取締役社長兼CEOの鶴本浩司は、冒頭で「もともと旅とデジタルは親和性が高い。今やるべきことのヒントを得る場になれば」と呼びかけた。ベンチャーリパブリック代表取締役の柴田啓氏は「アプリで旅行を予約するだろうかと思う方もいるだろうが、LINEアプリ経由ですでに数千件の予約が発生している。中国のウィーチャットはさらに規模が大きい。アジアでは、チャットサービス、配車、決済など日常生活での高頻度サービスを基盤に据えたスーパーアプリが旅行ビジネスを変えようとしている」などと指摘した。

デジタルマーケティングのシンポジウムでは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの取り組みも共有された

また、インバウンド・観光総合ビジネス展の会場では、VR、ARなどの新技術を駆使した新しい観光関連サービスを手がける企業のブース出展も目立った。auスマートフォンの位置情報ビッグデータを用いた分析サービス「Location Trends」を提供するKDDIとコロプラ、多言語同時翻訳のKotoznaといったコンピューター・IT関連企業の出展も多く、新たなサービスの浸透に期待感を抱かせる内容となった。

JTBもインバウンド支援でブースを出展。
VRによる観光体験が数多くみられるようになってきた。

TEJの各種シンポジウムや会合で語られた内容は、後日詳報する。