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JTB、非旅行の新事業で法人向けソリューションサービス発表、サブスク方式の人材育成プラットフォーム提供へ

JTBは2020年4月から、人材育成と企業の持続的成長を図る法人向けソリューションサービス「flappi(フラッピ)」の提供を開始する。

デジタル化とライフスタイルの多様化、少子高齢化によって、企業と従業員の関係性が変化しているなか、企業の成長のカギは従業員のエンゲージメントの向上にかかっており、企業は従業員に選ばれるための価値提供「EVP」(Employee Value Proposition)を高めることが、重要な経営課題になっている。

これに対し、新サービスでは企業の持続的成長を、人材と組織の両面からサポートする。従業員一人一人の悩みや課題、行動データをAIで分析し、フィードバックと効果的なプログラム等のレコメンドを通して、個人のキャリアや生活向上のための自発的な行動を促す。あわせて組織の課題も抽出し、その解決策を企業に提案する。課題の可視化から効果的対策の推奨、実践プログラムの提案まで、一連のループをプラットフォームで提供するのが特徴だ。

JTB代表取締役社長の髙橋広行氏は、「企業の人材課題に取り組むビジネスはほかにも存在すると思うが、一気通貫で提供するサービスはないと理解している。我々がこの分野に先鞭をつける」と意気込んだ。

同サービスは、JTBのグループで福利厚生サービスを提供してきたJTBベネフィットが提供。また、企業のデジタル化を支援するコンサルティング会社のシグマクシスと資本提携を、経営大学院や企業研修を行なうグロービズとは戦略的提携を締結し、コアパートナーとして、事業戦略策定やサービス開発・運営を行なっていく。

プラットフォームの利用は月額のサブスプリクション方式とし、企業規模に異なるが料金は1人あたり数千円~数百円での提供を想定。従業員に提案するプログラム等には別途料金を設定する。すでに様々な分野のパートナーが参画しており、JTBベネフィット代表取締役社長の中村一郎氏は、「このサービスは従業員向け施策が多様になるほど価値が高まる。アライアンスパートナーと一緒に個人の成長と生活の充実を目指すしていく」と述べ、新たな参画を呼び掛けた。

すでに顧客企業への案内を始めており、初年度には10社程度の契約を見込む。5年後には契約企業数200社、売上(プラットフォーム利用のみ)20億円を目標としている。

「第三の創業」をEVPで具現化

JTBでは2018年度から「第三の創業」と位置付け、ビジネスモデルを従来の旅行業モデルを基盤に、顧客や社会の課題解決を目指すソリューションモデルへと大きく転換を図っているところ。今回の新サービスはその中核となるサービスとしており、第三の創業を具現化するソリューションとして、独自の「JTB EVP」に取り組むという。

JTBとしては人材育成の分野に参入することになるが、代表取締役社長の髙橋氏は「法人営業部門で圧倒的な企業との関係性構築ができていると自負している」と自信を示す。職場旅行やBTS(業務渡航手配)のほか、MICEや福利厚生など、さまざまな分野で接点が多いとし、旅行業を基盤とするJTBの強みを強調。サービスで提供するプランとしても、状況に応じてチームビルディングや職場イベントなどを提案できるとする。

今回開発したプラットフォームやサブスプリクションモデルは今後、他の領域にも活用していく方針。また、JTBグループでも4月から、同ソリューションを導入する予定だとしている。