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東北夏祭り、2019年の客数が震災前を上回る、三大祭り以外で「八戸三社」など躍進 -日本銀行調べ

日本銀行青森支店、秋田支店、仙台支店、福島支店によると、2019年の東北の主要夏祭りへの入込客数は前年比5%増の1616万人だった。東日本大震災以前である2010年(1597万人)の水準を上回り、比較可能な過去10年間で最高を記録した。

三大祭りの2010年との比較では、青森ねぶた祭りが4%減の285万人、秋田竿燈まつりが3%減の131万人、仙台七夕まつりが4.6%減の224万9000人。八戸三社大祭(39.7%増145万人)、盛岡さんさ踊り(10.3%増・149万1000人)など、周辺の祭りへの来場がこの10年間で増えている様子もうかがえる。

日本銀行:発表資料より

2019年の特徴は、総じて天候に恵まれるなか、高速道路の開通、2016年にユネスコ無形文化遺産への登録による知名度向上が奏功し、県内他地域や隣県からの来客が増加。運営者側も写真映えを意識したコンテンツ強化を図る動きが目立った。訪日外国人客はアジア圏の団体客が中心だが、欧米豪、リピーターも増えているという。大型クルーズ船の乗客向けの臨時列車増便、スマホアプリを利用したタクシー配車サービスといった受け入れ体制整備も行われた。

ホテル・旅館の稼働状況については、例年同様、夏祭り期間中はほぼ満室となったが、キャパシティの大きな大都市からは「首都圏からの周遊客が宿泊せずに帰ってしまう」との声も聞かれた。2020年は東京オリンピック・パラリンピックと会期が重なることから首都圏からの周遊客がさらに増えることが予想され、日本銀行では「ナイトエコノミーの充実などとともに、東北全体をブランド化した情報発信の一層の整備が求められる」などと指摘している。