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運航数便数は前年比26%減、イタリアでは予約ゼロの便も、国際航空運送協会(IATA)は各国航空当局に発着枠の規制を一時停止要請

国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響により世界中で運休・減便が増加しているなか、世界各国の航空当局に対し、空港の発着枠に関する規制を一時停止するよう要請した。

IATAによると、世界の全旅客数のうち43%が現在、発着枠を調整している約200空港を利用しているという。現行の発着枠の規制「Use It or Lose It」のもとでは、航空会社は通常、割当られた発着枠のうち少なくとも80%を使用しなければならず、それが満たされない場合は、次年にその権利を失うことになっている。

IATAは、COVID-19によって世界の航空業界は厳しい状況に置かれているとして、各国の航空当局に例外措置を認めるように求めた。

IATAによると、現在のところ運航数便数は前年比26%減。イタリアでは予約数は同108%減となる航空会社も現れ、予約数がゼロになる便も出ているという。また、ノーショー率(当日空港に現れない旅客の割合)が50%に達する航空会社も多く見られている。今後も需要の増加は見込めず、乗務員に対して無給休暇や賃金引き上げの凍結を実施し、運航を停止するなどの措置を取る航空会社も現れている。

中国と香港への路線について、COVID-19が収束するまでの期間、すでに発着枠規制を免除している規制当局もあるが、IATAは、COVID-19は世界に拡散していることから、この措置はもはやアジア市場に限ったことではないとしている。

また、規制免除が今年の夏期スケジュールの間、継続されなければ、航空会社は今後の運航計画を立てることができず、機材繰りや乗務員の配置を十分に行うことができないと訴えている。

1月の旅客需要の伸び率は2010年4月以降で最低に

なお、IATAは今年1月の国際線の輸送実績も発表している。それによると、1月のRPK(旅客キロ)は前年比2.4%増となったものの、伸び率は、2010年4月以降で最も低い結果となった。COVID-19の発生によって、中国が1月23日から旅行制限を始めたことが大きな要因。

アジア太平洋に限ると、旅客数は同2.5%増となったもののも2013年以降で最も低い伸び率となった。中国では、国内線の需要が同6.8%減となった。