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国際航空運送協会、米国の欧州に対する入国禁止措置に警鐘、航空会社の甚大な損失に各国政府に支援求める

国際航空運送協会(IATA)は、アメリカ政府によるヨーロッパ・シェンゲン協定加盟国に対する入国禁止措置について、声明を出した。IATAは、各国政府の新型コロナウイルス(COVID-19)と感染拡大を防止する取り組みに理解を示したうえで、今回のアメリカ政府の措置による経済的影響は広範囲に及ぶとの懸念を示した。

IATAによると、2019年のアメリカとシェンゲン加盟国間の運航便数は、1日あたり約550便、年間では約20万便にのぼり、旅客数は4600万人に達した。また、アメリカ/シェンゲン加盟国路線の市場規模はおよそ206億ドル(約2兆2111億円)にのぼり、そのうち、最大の市場はアメリカ/ドイツ路線で40億ドル(約4293億円)。ついで、アメリカ/フランス路線の35億ドル(約3757億円)、アメリカ/イタリア路線の29億ドル(約3113億円)。

IATAは3月5日にCOVID-19の影響により航空会社の損害は約1130億ドルに達すると発表。しかし、その予測には、今回のアメリカの措置をはじめ、イスラエル、クウェート、スペインになどが打ち出した取り組みは含まれておらず、今後さらに予想損害額が拡大するのは必至だ。

IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務局長は、世界保健機関(WHO)の助言に従う重要性を指摘する一方で、「すでにFlybeが破綻した。今回のアメリカの措置は、さらに航空会社を窮地に追い込むことになる。航空会社には、この危機を乗り切るための緊急措置が必要になる。各国政府は、信用枠の延長、インフラコストの削減、税負担軽減など、航空業界を支援する可能な限りの支援を検討すべき」とコメントし、各国政府に対応を求めた。

*円換算は1米ドル107円でトラベルボイス編集部が算出した。