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海外旅行の再開は「トラベルバブル(近隣の域内旅行)」から? 豪州とニュージーランドで議論進む、8月には実現可能との見方も課題は山積【外電】

現在、オーストラリアとニュージーランドとの間では、新型コロナウイルスの感染拡大を予防するために閉鎖していた国境を開放して両国を同一の旅行ゾーンとする、いわゆる「トラベルバブル(近隣の域内旅行)」について議論が進められている。ビジネスデータ・プラットフォームのStatista(スタティスタ)は、その可能性を考察している。

トラベルバブルとは、社会的、経済的に結びつきの強い隣国が、ひとつの大きなバブル(泡)の中に入り、その枠組みの中で新型コロナ感染を防止しつつ、旅行の選択肢の幅を広げること。オーストラリアとニュージーランドに先立ち、バルト三国では5月15日から三カ国の国民に限って三国間の移動が認められている。ちなみに、ニュージーランドでは、「Stay Home」の代わりに、家族が同じ泡の中に留まるという意味で「Stay in your bubble」とい表現が使われている。

スタティスタによると、ニュージーランド観光協会(New Zealand's tourism association)幹部のクリス・ロバーツ氏は、お互いの空港で迅速なCOVID-19検査が実施可能ならば、トラベルバブルは旅行者にとって有効なものになるとしている。しかし、これが実現可能なものかどうかまだ確かではない。

CNNの取材に対して、ロバーツ氏もオーストラリアの観光当局者もトラベルバブル実現のためには、 一方の国だけでなく両国が新型コロナ特別対応の検疫を中止する必要があるという認識を示している。また、濃厚接触者の追跡システムや体温検査など別の準備も必要となる。

ただ、ある観光の専門家によると、すべての準備が整えば、今年の8月頃にはオーストラリアとニュージーランドのトラベルバブルは実現されると見込まれている。

ニュージーランドが、トラベルバブルを早急に進めようとする理由は、オーストラリアとの経済的なつながりが強いことにある。2019年、オーストラリア人はニュージーランドを訪れた海外旅行者のうち40%を占め、その観光消費額は全体の25%にものぼった。一方、オーストラリアを訪れたニュージーランド人は全体の15%ほどだ。さらに、年間約60万人が恒常的に両国間を往来している。

※この記事は、世界最大級の統計調査データプラットフォーム「スタティスタ(Statista)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。 

オリジナル記事(英文)はこちら:What Could a Travel Bubble Look Like?

 著者: Katharina Buchholz