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JALグループ第1四半期、937億円の赤字、今期の旅客収入は前年比3〜4割見込み

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JALグループは、2021年度3月期第1四半期(2020年4月1日~6月30日)の連結決算を発表した。新型コロナウイルス感染拡大によって急激に落ち込む需要に対して、機動的な需給調整で変動費を抑制するとともに、固定費の削減に努めたが、過去に例を見ない減便・運休の影響は大きく、大幅な減収減益となった。

具体的には、営業収益は前年同期比78.1%減の763億円と大幅な減収。EBITは前年同期の199億円の利益から1310億円の損失に落ち込み、純利益も前年同期は129億円を計上したものの、今期は937億円の赤字に転落した。

国際旅客事業については、各国の厳しい出入国制限の継続により需要がほぼ消失。旅客数は同98.6%減、旅客収入は同97.9%減の27億円となった。国内旅客事業については、都道府県をまたぐ移動の自粛により大幅に需要が減少したことで、旅客数は同86.7%減、旅客収入は同85.1%減の189億円に終わった。

このような状況下、JALは投資計画をさらに見直し。当初想定比で年間500億円の抑制を目標としていたが、航空機投資をさらに300億円抑制し、年間で計800億円の抑制を目指す。

手元流動性については、2020年2月以降、これまでに約3000億円の資金調達を実施し、コミットメントラインも1500億円増額、2000億円を確保。機動的な資金調達に加え、資金支出の抑制努力によって、6月末の手元現預金は3943億円を確保している。

2021年3月期の連結業績予想については、不確定要素が多いため、発表を見送った。

JALは、需要回復の見通しは不透明ながら、需要回復シナリオを策定。今期の国際および国内旅客収入の合計は、前年比で35%~45%程度にとどまると見込む。この減収に、他の収入の状況と固定費を含む費用削減を勘案した場合、EBITベースで、連結売上収益の減収額の概ね5割程度の利益悪化になると試算している。