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自治体やDMOがマイクロツーリズムで成功するカギは? 地域観光の奥行を「自転車」と「ドライブ」で広げる事例をナビタイムに聞いてきた(PR)

ウィズコロナ時代の旅のカタチとして、新しい「安・近・短」旅行が好まれる傾向にある。感染リスクが低く、安心安全に近場を巡る短期間の手軽な旅。その手段として注目されているのが、自転車と自動車だ。地域への観光客誘致を担う自治体やDMO(観光地域づくり法人)が、これらを利用した旅行者の旅をより楽しく、事業者にメリットのある仕組みをつくるためにはどのような手法があるのか。

ナビタイムジャパンでは自転車と自動車の移動に関する、さまざまなサービスを展開。消費者向けだけでなく、自治体と共同で旅行者の回遊性を高める仕掛けも創り上げており、コロナ禍に多くの地域が注力するマイクロツーリズムに繋がる成果もみられる。ツーリング事業部部長の見持武志氏とドライブ事業部部長の深山将太氏に、サービスの特徴と自治体やDMOの活用事例を聞いてきた。

自転車向けアプリを地域の回遊促進の基盤に

「自転車NAVITIME」は、ナビタイムがサイクリスト向けに開発した自転車専用のナビゲーションアプリだ。普段、自転車を利用しない人にはピンとこないかもしれないが、自転車向け特有の機能として、ルートの高低差グラフや速度、走行距離などを表示・記録するサイクルコンピューター機能を搭載。自転車が通行可能な道路だけを検索し、「坂道が少ない」「裏道優先」といった全7種類のルート選択、天候変化時や事故多発地点などの音声案内、各地のサイクリングコースやサイクルステーションの検索などができるようになっている。

昨年には、砂利道などの未舗装道路を回避するルート案内や、膨大な地図データを高速処理できる新技術を導入し、ルート検索対象の道路が4倍に拡充。より小道の道路やトンネル側道なども即時に検索できるようになった。さらに先ごろには、ユーザーがPCサイト「NAVITIME」で独自のコースを作成し、それをアプリで読み込んでルート案内する機能も追加。自転車利用時の利便性と安全性はもちろん、娯楽性を含めてサイクリストの要望に対応し、常に品質向上を追求し続けることで、自転車専用アプリとして他の追随を許さない地位を確立している。

2011年のサービス開始時はサイクリスト向けサービスに注力していたが、自治体からの問い合わせの増加に応じ、自治体と連携したサービスの提供を開始。自転車をラストマイルの移動手段や街づくりの一環として位置づけている自治体は多いが、「2018年に政府が『自転車活用推進計画』を発表すると、自転車活用を模索する動きに拍車がかかった」(見持氏)という。

ツーリング事業部部長の見持武志氏

自転車で地域の内部へ誘引、“ビワイチ”で周遊促進

ナビタイムが自転車NAVITIMEで自治体向けサービスを提供するのは、大きく2つ。1つが、地域のサイクリングコースや観光スポットをアプリ内に掲載すること。もう一つが、自治体独自のアプリとして展開するOEMアプリの開発と運用だ。

OEMアプリの開発事例では、滋賀県と連携したアプリ「BIWAICHI Cycling Navi(ビワイチサイクリングナビ)」がある。自転車で一周する “ビワイチ”で人気の琵琶湖に注目してもらい、琵琶湖岸以外の内陸部への周遊促進に繋げたいというのが、滋賀県がアプリ開発に着手した理由だ。

代名詞である「ビワイチルート」に加え、景観スポットや歴史跡などをめぐる新コース「ビワイチ・プラス」も掲載。その他、観光地や宿泊施設、道の駅、近江グルメ、サイクルサポートステーションなど滋賀県の観光情報を掲載し、コースの立ち寄りスポットとして紹介する。さらに、滋賀県側からの「面白い仕掛けを作りたい」という要望に応え、ビワイチルート上の2か所にカメラを設置し、走行姿が自動撮影される機能も備えた。

こうした取り組みで、同アプリは開始から約半年でダウンロード数1万超、月平均3300ユーザーが使用するまでに成長。2020年の利用実績を見てみると、緊急事態宣言中は前年を下回ったものの、9月には前年を大きく上回り、走行距離は19年比で34%増、コース閲覧数は7%増、エリア情報の閲覧数は58%増となった。同アプリでは、琵琶湖から内陸部をテーマで周遊するコースを随時追加しており、見持氏は「データ上でも、県内部へ移動が広がっている」と話す。

「BIWAICHI Cycling Navi」のサービス。今後はスタンプラリー機能も開始する予定

地元エリアのドライブ周遊をスタンプラリーなどで活性化

一方、車サービスでは、車載カーナビと同レベルのナビ機能を搭載する「NAVITIMEドライブサポーター」で自治体向けサービスを提供している。深山氏は、コロナ禍で“安近短”の旅行が好まれる中、「車を使った安心・安全なドライブ観光をコンセプトに、地域の魅力再発見と観光誘客につなげていく」と話す。

ドライブ事業部部長の深山将太氏

例えば「ドライブ観光コンテンツ」では、オススメの観光スポット情報をまとめた特集ページやドライブコースなどを掲載している。「近隣エリアの魅力に気づきを与え、地域内での観光客の回遊の促進や、観光客の満足度を高めることが目的」(深山氏)だ。「音声観光ガイダンス」機能では、ナビゲーション中に特定スポットに車が近づくと観光ガイドが同乗しているような音声が流れ、その地域のことを「よく知り、よく学ぶ」移動体験が可能。その他にも地域内のお得なクーポン情報やイベント情報の案内や、周遊に効果的なスタンプラリーの設定ができるのも、特徴の1つだ。

さらにナビタイムが2019年7月~8月にかけて実施した、千葉県銚子市での観光型MaaS実証実験もある。銚子市、銚子電気鉄道、KDDIも参画し、出発地から96キロ以上走行して銚子電鉄の犬吠駅に行くと、当日利用できる「銚子電鉄1日乗車券」をプレゼントするなど、近隣県からの誘客と回遊性の仕掛けを用意した取り組みだ。

銚子市での観光型MaaS実証実験で提供したサービス内容。「NAVITIMEドライブサポーター」を活用

その結果、銚子市外からの訪問者数は前年比で27%増加。隣接県だけでなく、栃木県や群馬県といった100キロ以上離れた地域からの訪問者数が78%も増加した。特に、市内6か所の観光スポットを巡る「チェックインラリー」を企画したところ、これに参加するために銚子市への到着時間が早まり、「7時~13時」到着が前年比で54%も増えた。この結果、銚子での滞在時間が220%増の4時間25分に伸び、現地消費の機会も拡大した。

深山氏は、「自治体や地元企業の方々と連携することで、地元ならではの魅力や情報発信ができることが実証できた。車による周遊の需要はある」と手応えを感じている。今後もMaaSを含め、自治体や地域企業との協業を進めていく考えだ。

検索・周遊データ収集で効果測定も

見持氏によると、自転車サービスの場合、多くの自治体が独自のアプリ開発を希望するが、まずは自転車NAVITIMEへのサイクリングコースの掲載から始めるケースも少なくない。自治体が持つ観光マップなどの紙データをナビタイムがデジタル化し、コンテンツとして掲載する。現在13の自治体がコースを掲載しており、「徒歩では少し距離があるスポットを周遊する例も増えている」(見持氏)という。2021年2月には、福島県いわき市や郡山市との連携も開始。将来的なインバウンド需要を見据え、日本語以外にも、英語、中国語(繁体字・簡体字)にも対応する。自転車NAVITIMEユーザーに向けた情報発信と、安全なナビゲーションを提供することで来訪者への付加価値を提供することができる。

また、自動車向けサービスで周遊促進に効果のあったスタンプラリーについては、自転車NAVITIMEでも今後、独自のイベントを開催していく計画。自治体側がイベントと連携することも可能だ。

これ以外にも、ナビタイムではシェアサイクルのポートや貸出状況を確認できるシェアサイクル・レンタサイクルの検索アプリ「どこでもサイクル」もあり、すでに53の自治体が登録。自転車NAVITIMEはもちろん、ナビタイムのトータルナビ「NAVITIME」とも連携しており、ナビタイムのサービスを利用する5100万ユーザーから検索される可能性がある。

小さなサービスから始められるのは、自動車サービスでも同様。「お出かけコンテンツ」やスタンプラリーの活用以外にも、エリアターゲティングした利用者にアプリ起動時の「PUSH通知」や「オープニングパネル」での広告配信で、特設ページへの誘導や情報配信も可能だ。

さらに自治体がナビタイムと連携するメリットは、誘客や回遊性を促す仕掛けだけにとどまらない。自転車サービス・自動車サービスとも、スマートフォンを活用した利用ログでさまざまなデータを収集できる点も大きな魅力。検索データや走行データをもとに効果測定ができるため、今後のサイクリングツーリズム、ドライブツーリズムなどの立案に役立てることが可能になる。

誘客と地域内周遊の仕掛けだけでなく、データを活用して次の生きた立案に繋げられるのもメリット。上記イメージ図は自転車サービスのケースだが、自動車サービスでもデータ活用が可能

自転車も自動車も、他者との接触機会が少なく、移動と観光を楽しむことができる手段。コロナ禍で公共交通での移動が減少する中で、自転車は前年比50%を超える勢いで増加しており、自動車も昨年秋には前年並みに回復している。ナビタイムでは今後もユーザーのニーズに即したサービスを提案し、自治体の観光促進と地域活性化に応えていく考えだ。

「観光型MaaS」テーマのウェビナー開催 お知らせ

ナビタイムでは2月16日に、「観光型MaaSの未来」をテーマにしたウェビナー「モビリティ勉強会~JR西日本編~」を開催。JR西日本のMaaS企画室長が、瀬戸内地区の事業者や自治体などの参画・協力のもと提供する観光型MaaS「setowa」の取り組みを講演するほか、日本版観光型MaaSに向けた展望をナビタイムのMaaS事業部長と議論する。詳細は下記のリンク先へ。

ナビタイムジャパン 2/16(火)「モビリティ勉強会~JR西日本編~」ウェビナー 

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対応サービス:自転車NAVITIMEどこでもサイクルドライブサポーター国内観光の分析事例

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記事:トラベルボイス企画部