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HIS連結決算、引き続き大幅な減収減益、ハウステンボスは利益増加、持株会社制への移行は中止に ー2021年度第1四半期

エイチ・アイ・エス(HIS)は、2021年10月期第1四半期(2020年11月1日~2021年1月31日)の決算を発表した。それによると、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引いていることから、売上高は前年同期比80.5%減の388億6000万円に落ち込み、営業損失116億7700万円(前年同期は37億9100万円の営業利益)、経常損失117億9800万円(同42億8800万円の経常利益)、純損失79億8100万円(同21億7700万円の純利益)を計上し、引き続き大幅な減収減益となった。

セグメント別では、中核の旅行事業は、主力の海外旅行が壊滅的な状況だった一方、国内旅行はGoToトラベルキャンペーン効果によって、一時は取り扱いが増加。また、「オンライン体験ツアー」は5万人以上に利用されるなど新しいビジネスの構築に取り組んだ。その結果、売上高は同89.5%減の184億500万円、93億9400万円の営業損失を計上した。

テーマーパーク事業は、GoToトラベルキャンペーンの効果によって、ハウステンボスの入場者数が一時増加したものの、キャンペーンの全国停止発表後は再度大きな影響を受け、最終的に入場者数は同11.7%減の60万9000人。売上高は同3.2%減の62億2500万円、営業利益は同59.8%増の10億6900万円を確保した。

ホテル事業では、「ウォーターマーク京都」や 「変なホテル奈良」「変なホテル小松駅前」を新規開業。GoToトラベルキャンペーンにより一時的に稼働率が回復したものの、売上高は同54.2%減の17億4400万円、営業損失は13億7400万円に及んだ。

このほか、九州産交グループの売上高は同31%減の47億8500万円、営業損失は4億9700万円。エネルギー事業の売上高は同21%増の76億3800万円、営業損失は7億400万円となった。

なお、同社は、雇用調整助成金などの支給申請の実施によって、助成金収入を個別決算において19億3200万円、連結決算において34 億1100円をそれぞれ特別利益に計上した。

持株会社制への移行中止、現行組織での業績回復が必要と判断

また、HISは、今年11月1日に予定していた持株会社制への移行を中止すると発表した。旅行業および旅行関連事業を同社の完全子会社である株式会社新エイチ・アイ・エスへ吸収分割により承継することを予定していた。これにより、第40回定時株主総会で決議した商号変更などの同社定款一部変更も失効する。

HISは、移行中止の理由として、長引く新型コロナウイルス感染症の影響によって、当初予想しえなかった 経営状況に直面しており、いち早く業績を回復させるためには、現行の組織を維持することが当面必要であると判断したと説明している。

なお、持株会社体制への移行は、将来的に同社グループにとって必要な施策であるとの認識のもと、実施が適当となった段階で改めて株主総会に上程し、承認決議するとしている。