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サービス連合、春闘の中間報告を発表、コロナ禍で労使が従来以上に向き合う

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)が、2021年の春季生活闘争(春闘)の中間報告を行った。

サービス連合会長の後藤常康氏はコロナ禍での交渉が続く今期の春闘について、「厳しい状況であるが、労使でこれまで以上に真摯に向き合えた時間となった。事業と雇用をどう守るか、毎日のように交渉されている」と所感を述べた。

副事務局長の櫻田あすか氏によると、今春闘に取り組んだ加盟組合は152組合で、発表時点までに要求書を提出したのは72組合。このうち、3月末までに合意したのは34組合、4月15日時点では40組合だった。交渉継続中や、これから要求書を提出する組合もあり、例年と比べると、現時点で合意となった組合数は少ないのが実態だ。

交渉内容は、賃金は定昇確保、一時金も引上げを目指し、今春闘で目標とした1%を上回るベアや一時金の上積みを引き出した組合もあった。最低保証賃金については厳しい状況下で重要性の理解が浸透し、取り組みが進んだ。

また、今春闘ではコロナ禍を踏まえた付帯要求を行う組合もあった。コロナ禍で安全対策をしながら通勤・勤務することに対する特別手当の要求をした組合があったほか、ワクチン接種やPCR検査の費用補助の要求や罹患した場合の特別休暇に関する交渉も見られた。また、通信費などテレワークに関する手当の要求なども行われたという。

会長の後藤氏は、コロナ禍による観光関連産業の厳しさを踏まえながらも、「将来性が奪われたとは考えない。特に地域経済を支える意味で求められる力は変わっていない」と述べ、将来を見据えた労働条件の向上を図ると同時に、コロナが与える現状の課題に対応した取り組みを進めていく考えを示した。