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観光庁、2022年度予算で425億円を要求、危機に瀕する観光産業の存続支援、宿泊業の高付加価値化は7倍の7億円

観光庁は、2022年度予算について、前年度予算比3.3%増の425億3500万円の概算要求を行った。このうち、一般会計は同1.2倍の177億3500万円、復興枠が同2.67倍の8億円、国際観光旅客税の徴収は同8.0%減の240億円。

2022年度には、危機に瀕する観光地・観光産業の存続を支援し、ポストコロナを見据え、地域経済を支える観光の本格的な復興の実現に向けた取り組みを推進するほか、中長期的な滞在者や反復継続的な来訪者の増加、稼げる地域の看板商品となるコンテンツの創出などに向けた取り組みを推進する。

具体的な取り組みと要求額は以下の通り。

観光産業の再生と「新たな旅のスタイル」の普及と定着: 22億2600万円

このなかでは、「新たなビジネス手法の導入による宿泊業を核とした観光産業の付加価値向上支援」として、前年度予算の約7倍にあたる7億円を要求した。宿泊業を地域の観光産業・旅行消費の核となる業種として位置づけ、新たなビジネス手法を導入し、宿泊施設を中心として地域全体に波及する付加価値を生み出す取り組みを支援。具体的には、数業種などの連携による新規サービスの導入、地域に波及する生産性向上や高付加価値化において、専門家の派遣などを通じて支援する。

また、「新たな旅のスタイル促進事業」では5億2500万円を要求。ワーケーションやブレジャーなどを普及させることで、より多くの旅行機会の創出と旅行需要の平準化を図る取り組みを促進する。

国内外の旅行者を惹きつける滞在コンテンツの造成: 22億1500万円

「DXの推進による観光サービスの変革と観光需要の創出」について、同1.25倍の10億円を要求。ポストコロナを見据えて、旅行者の体験価値向上、消費機会の拡大、来訪意欲増進と顧客定着などを進めるため、デジタル技術と観光資源の融合などDXによって新しい観光コンテンツを創出するなど、観光サービスの変革と観光需要の創出を目指した取り組みを進める。

受入環境整備やインバウンドの段階的復活: 126億3000万円

新規事業として「持続的な観光推進モデル事業」に4億5000万円を要求。世界的にサステナブルツーリズムへの関心が高まるなか、日本が世界の旅行者から選ばれる観光地となるために、モデル形成を通じた地域におけるマネジメント体制の構築などを通じて、オーバーツーリズムやカーボンニュートラルにも対応した持続可能な観光を推進していく。

このほか、「戦略的な訪日プロモーションの実施」として、日本政府観光局(JNTO)運営費交付金を含めて84億3000万円を要求。「MICE誘致の促進」では、同1.32倍の2億5100万円を要求し、ハイブリッド会議開催などのノウハウ支援、比較的早期の需要回復が見込まれるインセンティブ旅行の誘致支などを実施する。