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【年頭所感】日本旅行社長 小谷野悦光氏 ―旅行業を未来へ紡ぐ「覚醒」を

日本旅行の代表取締役社長である小谷野悦光氏が、2022年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

小谷野氏は、新常態におけるビジネスモデルの変革や持続的成長を示した中期経営計画に沿い、2022年は旅行代理店業からソリューション企業としての変革を加速すると説明。旅行業の旅行事業からより広義に、事業領域に社会視点を持って顧客や地域が求める価値を実現し、旅行会社としてサステナブルな未来の社会に貢献する企業になるという強い意志を示している。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2022年 年頭所感 - 旅行業を未来へ紡ぐ 日本旅行の「覚醒」

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2021年、コロナ禍による未曽有の事態は、時間の経過とともに改善に向かうだろうという期待感とともにはじまりました。しかし現実は予想を遥かに超え、年が明けてすぐに2度目の緊急事態宣言が発出、その後も10ヵ月に渡り平時を取り戻すことはありませんでした。私たち観光産業は、再起をかけた対策や計画を講じていく一方、社会環境の変化によって急な対処を迫られるという、新常態への一進一退の挑戦がまさに今現在も続いています。

当社においても例外なく厳しい経営環境に見舞われ、まさに日本旅行グループ全社総力を結集し「生き残り」をかけた挑戦が続きました。そして、その中では未来につながる〝光〟も見えてきました。これまで116年の長きに渡り「旅行業」で培ってきたサービススキルを応用活用することで、これまでとは異なる新しい分野においても力を発揮できる事例が増えはじめてきました。その一例が、「自衛隊東京大規模接種センター」をはじめ全国各地でサポートさせていただいたワクチン接種事業です。これまで培ってきた、複数のヒト・モノ・コトをつなぎとめひとつの価値にまとめ上げるプロジェクトリーダー的な役割、そこに旅行会社ならではのホスピタリティも付加できたことを大きく評価いただきました。そしてなによりも〝ワクチン接種の加速を通じ、旅行ができる当たり前の日常を取り戻す〟その想いでプロジェクトを遂行できたことは、コロナ禍の落ち込みの中にあった当社グループ全社員にとって、仕事への意欲を高め奮起を促す素晴らしい機会となりました。社会的に大きな貢献を果たすことができたこの経験値は、当社にとって未来につながる大きな財産になりました。新型コロナ禍において大きなダメージを受けたのは事実です。しかしながらコロナ禍だからこそ〝取り組めたこと〟〝気づけたこと〟その収穫も大きなものでした。

このほど当社は、新常態におけるビジネスモデルの変革や持続的成長を示した中期経営計画を策定しました。2022年、当社は旅行代理店業からソリューション企業としての変革を加速します。事業領域を大きく「ソリューション事業」と「ツーリズム事業」に二分化した事業ポートフォリオ経営へとスイッチします。特に前者においては、これまでの旅行業の事業領域からもっと広義に、SDGsやDXをはじめとする顧客や地域の抱える社会課題へ挑み、当社はその課題解決の中心的役割を担いトータルコーディネートをしてまいります。JR西日本をはじめとした多くのアライアンスパートナーと共創することで新しいシナジーを発揮し、より良い未来の実現に向け、顧客や地域が求める価値を実現する企業へと「覚醒」していきます。

昨年3月の社長就任以来、未曽有の危機は依然として続くものと覚悟をしているところですが、当社及びグループ会社社員をはじめ、観光産業で働く皆様が、一歩一歩前へと進み、明るい希望や夢を取り戻せるよう奮闘してまいりたいと考えております。そのためにも、事業領域に社会視点を持ち、旅行会社として、サステナブルな未来の社会に貢献する企業になるという強い想いをもって臨む所存です。

本年も引き続き皆さま方のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申しあげます。

株式会社日本旅行

代表取締役社長 小谷野悦光