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【年頭所感】ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏 ―創立70周年、自信をもって前に進もう

ANAホールディングスCEOの片野坂真哉氏が、2022年を迎えるにあたり、年頭挨拶を発表した。グループ年始式の挨拶で述べたもの。

まず片野坂氏は今年、創立70周年を迎えられたのは、様々な困難を乗り越え、安全を守り、常に挑戦し続けてきた先輩方の努力があったと説明。その上でコロナ禍で旅客需要が消失した2年間を振り返り、我慢を続けながら日々の業務に邁進したグループ社員に対し、感謝を述べた。

そしてコロナ3年目となる2022年の進み方として、(1)常に社員の状態を知ること、(2)需要を作り出すこと、(3)賃金減額からの復元検討をはじめ、思いきったキャリア形成や人財育成プランなどの考えを提示。夜明けを近づけるのは社員の底力と述べ、全員の力で困難に立ち向かい、世界の夜明けに向かおうと呼びかけている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2022年ANAグループ年始式 グループCEO年頭挨拶(骨子):夜明けは近い。自信を持って、前に進もう。70周年だ

皆さん、新年明けましておめでとうございます。

本年、ANAグループは創立70周年を迎えます。たった2機のヘリコプターの会社が、日本を代表するグローバルなエアライングループに成長してこられたのは、私たちの先輩達が様々な困難を乗り越え、お客様の安全を守り、常に挑戦し続けてきたからです。

そのANAグループは、2020年の年明けから、世界中を襲った新型コロナウイルスにより、旅客需要の消失というかつて経験したことのない危機に見舞われ、今なお厳しい経営が続いています。私たちは、事態発生後、あらゆる収支改善策に取り組み、一旦、小さな会社になってコロナのトンネルを抜ける、という方針のもと全社一丸となって取り組んできました。その中でも私が最も感謝したいのは、ANAグループ社員の頑張りです。このコロナを必ず乗り切るという決意のもと、生活面の厳しい我慢を続けながら、日々の業務に邁進して頂いていることに心より感謝申し上げます。

ここで昨年を振り返ってみましょう。2021年度は黒字化を目指したわけですが、緊急事態宣言期間が継続・拡大され、旅客需要は計画を大幅に下回り、上半期の赤字が巨額となったことから、残念ではありますが、年度業績予想を1,000億円の赤字見通しに修正しました。黒字達成を掲げて取り組んだことはコスト削減の力となって現れ、赤字幅を昨年度から4分の1まで縮めることが出来た訳で決して無駄なことではありません。新年を迎え、今年度も残り3か月、第4四半期単独での営業黒字化を目指しており、引き続き、全社を挙げて増収増益に取り組みましょう。

さて、皆さん、コロナ3年目を迎える2022年、私たちはどのように進めば良いでしょうか。私の思う所を3点述べます。

1つ。常に社員の状態を知る。

経営層も管理職も社員との「対話」を続けていますが、社員の気持ちをしっかりと受け止め、具体的にアクションとして実行していくことこそが、このコロナを乗り切る今、最も重要です。

2つ。夜明けは近い。

航空需要は緩やかながらも回復に向かいます。今後も一時的に感染の再拡大が起こるかもしれない。しかし人々は動き出している。ビジネスで移動したがっている。旅行に行きたがっている。航空需要の回復をただただ待つのではなく、需要は創り出す。

3つ。夜明けを近づけるのは社員の底力。

来年度の黒字化予算策定に合わせて賃金減額からの復元について検討を開始し、計画に織り込んでいく考えです。社員の関心は雇用や賃金だけではありません。働き甲斐、自らの成長、ライフプランなどもモチベーションを高める要素です。

今回思い切ったキャリア形成や人財育成に関するプランも示されています。エンゲージメントを高めていくためにも、若手社員、現場社員もどんどん意見を挙げて改革に参加してもらいたいと思います。

ANAグループはどんな困難も全員の力で乗り越えてきました。夜明けを近づけるのも社員の力です。

70周年を迎える年は「寅年」。

虎のように勇猛果敢に困難に立ち向かい、世界の夜明けに向かって羽ばたいて行きましょう。

Together!一緒に!

ANAホールディングス

CEO 片野坂真哉