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グーグル、ホテル予約サービス「Book on Google」を終了、2022年5月に閉鎖へ【外電】

グーグルが、2022年5月25日にホテル予約の「Book on Google」を閉鎖する。同社では、理由を事業パートナーと消費者双方の利用率が低いためと説明している。

「Book on Google」は、Google上の検索結果などのプラットフォーム上で宿泊予約と決済を完結させることができる広告機能。2015年に、モバイルに最適化されていなかったホテルやOTAの取引を容易にするために、このサービスを立ち上げた。当時は、モバイルでの予約がデスクトップを追い抜き始めた時期だった。

Book on Googleに商品を掲載している事業パートナーは引き続き販売することが可能だが、予約と支払い情報は、グーグルがホストするフォームに取り込まれ、事業パートナーに直接渡されることになる。

グーグル広報は、「ユーザーにより簡単な予約を提供し、事業パートナーのコンバージョンを上げる目的でホテル向けBook on Googleを立ち上げた」と話したうえで、「しかし、時間が経つにつれて、ユーザーは、ホテルの直販あるいはOTA経由の予約を好むようになった。そのため、グーグルでは今年5月にこのサービスを閉鎖することを決めた。しかし、今後もホテル検索を改善していくために引き続き投資を行っていく」と説明している。

ホテル広告リンクの無料化が影響か

2021年3月、グーグルはホテル広告での予約リンクの掲載料金を廃止。これにより、有料の広告主でなくとも、ホテルやOTAが価格比較ツールに表示されるようになった。

グーグルによると、その変更の反応は好意的で、「ユーザーは、選択するときによりコンテンツを重視するようになり、以前の広告のみの表示に比べると、OTAから独立系ホテルまで幅広い事業パートナーがトラフィックの増加を経験し、その利益を享受している」という。

そのコメントとは裏腹に、広報はBook on Googleの利用率は低いことを認めている。無料予約リンクの開始以降の利用率についてはノーコメントだ。ただ「予約リンクの統合に重点を置くためにリソースを振り向けた」と話すにとどめた。

「我々の哲学は、旅行を探すユーザーにできるだけ最高の経験を提供すること。特定の機能が、その目的を達成できないと分かれば、調整していくことになる」と続けた。

グーグルは、2015年にBook on Googleを開始したときの事業パートナー数や現在の事業パートナー数を明らかにしていない。また、リンクからどれくらい予約が行われているのかも詳細は不明だ。

グーグルはすでに事業パートナーに対して、Book on Googleの閉鎖を通知し始めている。エンゲージメントが低かったことから、影響は最小限にとどまる見込みという。

昨年9月、グーグルは、ツアー、アクティビティ、アトラクションの検索および予約機能を刷新し、新たに「Things to Do」を開始した。さまざまな事業者が、無料、有料双方の予約リンクを貼ることができるこのサービスは、それまでの「Reserve with Google」に取って代わられた。理由は、Reserve with Googleでの事業パートナーが1社しかいなかったからだ。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:BOOK ON GOOGLE FOR HOTELS TO SHUT AFTER LOW TAKE-UP