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地域に眠る「観光資源の磨き上げ」を成功させるポイントは? 全国415事業者が挑戦した新たな市場創出と成果(PR)

ポストコロナにおいても、人口減少を迎える日本において、観光を通じた内外との交流人口の拡大による地域の活性化の重要性に変わりはありません。魅力ある観光コンテンツづくりは、新たな来訪者の取り込みのみならず、滞在の長期化、リピーターの増加につながるものであり地域活性化を実現する大きな鍵です。

また、観光コンテンツづくりを通じて地域の多様な関係者が連携することで、地場産業の活性化や定住促進に大きな効果をもたらし、「住んでよし、訪れてよし」の持続可能な観光地域づくりが進められることが期待されます。

こうした考えのもと、観光庁では地域に根ざした様々な関係者が連携し、地域に眠る観光資源の磨き上げを図る「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」を実施し、全国415事業者が参画しました。そこで得られた成果の一部についてご紹介します。

※この記事は、本実証事業を実施した観光庁による寄稿です。

※冒頭写真は燕三条(新潟県)で職人からペティナイフづくりを学ぶ様子。

地域内連携を通じて見えてきたポイント・成果は?

地域の多様な関係者が連携するにあたっては、まず目的・目標を共有することが重要です。そのうえで“観光×地域産業”で多様な事業者が連携して、新たな商品やサービスを創出することにより、観光客に対しての価値が広がるだけではなく、地域内で連携する産業や地域で暮らす住民へのメリットも生まれるなど、関係者に横断的にメリットをもたらすことが見えてきました。

観光×地域産業との連携は、幅広いメリットをもたらす

たとえば、農林水産業との連携では、農林水産品の流通量や消費量が増える仕組みをつくることで、収穫量の増加や売上向上などの効果につながります。住民にとっても、働く機会が生まれたり、旅行者との交流による働きがいの創出につながったりするケースもありました。観光事業者にとっては、地域産業と連携することで、提供する商品やサービスに付加価値が生まれ、他地域との競争優位性が増し、地産の資源をふんだんに活用することによる経済効果の広がりも見えてきました。

さらに、地域資源の磨き上げにおいては、資源をそのまま観光コンテンツにするのではなく、「経験価値」を伴う観光コンテンツに昇華することも重要で、そうすることで、「わざわざ行きたくなる観光地」として差別化できます。

地域資源に経験価値を加えることが高付加価値化につながる

各地域において、地域の歴史や文化、なりわいを見つめ直し、それらをターゲットとする旅行者にどのような形で魅力を伝えればよいのか、外部目線を入れたワークショップやモニターツアーを通じて試行錯誤を重ね、様々な新しい観光コンテンツやサービスが生まれました。

たとえば、お茶と焼き物の産地・嬉野(佐賀県)では、「お茶を楽しむ豊かな時間」として滞在者と地域の人がゆっくり触れ合う機会をつくったり、宇都宮大谷地区(栃木県)では、エリア内の移動も滞在価値のひとつと位置づけ、環境に配慮した低炭素型のモビリティに地元のガイドが乗り、地域の歴史やなりわいを案内しながら周遊を楽しめる仕組みをつくったりと、様々な挑戦がありました。

採択団体「嬉野茶時」(佐賀県)による地域住民と旅行者をつなぐ取り組み

宇都宮大谷地区(栃木県)で採石場をめぐるグリーンスローモビリティ

多様な関係者が連携することの課題

一方、多様な関係者が事業に参加することで、課題も浮き彫りになりました。異なるビジネスモデルを持つ産業関係者と連携するうえでの合意形成や、磨き上げた資源を流通・販売していく際の体制面の課題などです。

こうした課題に対しては、「どのような地域を目指したいか」というビジョンの共有を図ることや、そのビジョンに共感をするメンバーと「共通言語」を作りながら体制を組んでいくこと、事業設計と仮説検証を細めに重ねることで軌道修正を図ることが重要であることが、実証を通じて明らかになりました。

本記事では、事業の成果の一部をご紹介しましたが、産業連携の取組みの意義やメリット、よく寄せられた課題や悩みに対する専門家からの助言、特徴的な事例をまとめた「手引書」や、観光地域づくり事業者向けの「ナレッジ集」及び本事業のイメージ動画を観光庁ホームページに掲載いたします(2022年3月下旬公開予定)。これから新たに取り組む地域はもちろんステップアップを目指す地域の参考となる内容になっています。ぜひご一読ください。

広告:観光庁

問い合わせ先:外客受入担当参事官室 直通電話 03-5253-8972

記事:トラベルボイス企画部