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トラベル懇話会、海外旅行再開に期待の一方で、観光事業者の資金繰り悪化に警鐘、新会長は東武トップ百木田社長

旅行会社や航空会社・ホテル・ランドオペレーター・保険会社などの経営者から構成される旅行業界団体のトラベル懇話会は2022年6月3日、第44期(2021年4月~2022年3月)の通常総会と第45期のキックオフパーティを、東京プリンスホテルで開催した。

第44期通常総会では、第45期の事業計画などを承認。冒頭挨拶では、会長の原優二氏(風の旅行社代表取締役社長)が、「ようやくコロナの出口が見えた。6月に入り、具体的なものが動き出した」と述べ、海外旅行の再開が少しずつ進んでいることに言及。「雇用調整助成金(雇調金)を受給しながら、足元を固めて何とか切り抜け、海外旅行の復活に向けて頑張っていただきたい」と会員に呼びかけた。

原優二氏(風の旅行社代表取締役社長)

第45期の基本方針としては、「2020年度を脱コロナ禍の突破口となる年」とし、事業を可能な限り2019年度と同様の形に戻すことを目指す。オンラインが優位性を持つ活動を除き、リアル開催を基本とする。

一方で、海外旅行が動き出した状況を受け、「海外往来の事業再開で、収益が上がる前に経費が掛かり、資金繰りの悪化によって倒産の危機に晒される企業が増える」と指摘。この危機を乗り越えるためにも、雇調金の2022年度末までの延長やさらなる支援金の創設を求める方針だ。

また、会員獲得では、コロナ禍による会員減を踏まえ、退会した会員の復帰と現会員の維持に努め、新規の正会員の獲得を目指す。今期の年会費は予定通り活動ができなかった過去2期からの繰越金を活用し、通常の7割に減額。退会した会員の復帰には、今期の特例措置として入会金を免除する。

百木田新会長、さらなる進化に意欲

続いて開催された第45期キックオフパーティでは、新会長に就任した百木田康二氏(東武トップツアーズ代表取締役社長)が挨拶を述べた。

百木田康二氏(東武トップツアーズ代表取締役社長)

百木田氏は、旅行業界内外の問題を勉強する任意団体として発足したトラベル懇話会は、「自由闊達な議論ができ、日本旅行業協会(JATA)とは違う立場で旅行業界の要望や提案を出すことができる場所」と話し、歴史や伝統を尊重しながらも激変する業界環境に対応し、「さらに進化させていかねばならない。今後も、会員がメリットを感じられる活動をしていきたい」と、意欲を述べた。

なお、第45期の事業計画では広報活動の強化も盛り込んでおり、ホームページでの情報発信や業界メディアとのリンク形成などで外部発信を強めていく方針も、承認されている。