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サウジアラビア政府観光局、日本人旅行者の誘客に本腰、日本を2年間で「トップ10」市場に

サウジアラビアは、本格的に日本人旅行者の誘致に乗り出す。2019年9月には日本を含めた49カ国に観光ビザの発給を開始。昨年9月にはサウジアラビア政府観光局が日本支局を開設し、今年7月1日には旅行会社向けのセミナーと商談会を初めて開催した。

同局アジアパシフィック担当最高マーケット責任者のアルハサン・アルダッバグ氏は、今後日本市場に特化したプロモーションキャンペーンを展開し、旅行会社との関係を強化していくことで、「今後2年のうちに、サウジアラビアへの送客で日本をトップ10市場にしていきたい」と意気込みを示した。

現在グローバルキャンペーンとして、パリ・サンジェルマンに所属する世界的なサッカー選手リオネル・メッシを起用したキャンペーンを展開中。日本では、これに加えて、日本のセレブやインフルエンサーを起用した観光PRを行い、富裕層などを中心に訴求を強化していく考えだ。

サウジアラビアは、長期的な国の政策として、石油産業依存からの脱却を目指し、観光を成長産業のひとつとして位置付けており、2030年までに国内外合わせて年間1億人の旅行市場を創出していくことを目標として掲げている。アルダッバグ氏によると、2021年の旅行市場は約6200万人。そのうち海外からの訪問者数は約700万人で、主に巡礼、ビジネス、MICE、VFR(親族友人訪問)などの目的が多かったという。

サウジアラビアでは、観光分野での投資を拡大させ、各地でリゾート開発やスマートシティ「NEOM」の開発が進められているところ。観光開発は、現地雇用の創出でも貢献しており、これまでに約100万人の新規雇用を生み出しているという。人口の70%が35歳以下と若いことから、ハード面だけでなく「若者のホスピタリティ人材育成への投資も強化している」(アルダッバグ氏)。

インタビューに応えるアルダッバグ氏

日本とサウジアラビアは2017年、「日・サウジ・ビジョン2030」を策定し、両国間のビジネス促進を強めていくことで合意するなど、良好な関係が続いている。アルダッバグ氏は、「サウジアラビアの人たちは、アニメや食など日本文化に関心が高く、日本人旅行者も快く受け入れるだろう」とコメントした。

また、日本市場については、コロナ前は年間2000万人の海外旅行市場を持つ「成熟した強いマーケット」との認識を示したうえで、「サウジアラビアは、2000年以上の歴史遺産、ローカルフード、新しいリゾートなど、他の国では体験できないコンテンツを提供できる。新しい旅先を探している日本人にとって、パイオニア的な存在になるはず」と話し、アフターコロナを見据え、日本市場に期待感を示した。