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産業観光まちづくり大賞、金賞は岐阜・長良川流域で「和傘」を軸にした取組み、伝統産業を継承する事業を評価

全国産業観光推進協議会と日本観光振興協会は2022年9月23日、ツーリズムEXPOジャパンの会場で、「第15回産業観光まちづくり大賞」の表彰式を開催した。産業観光まちづくり大賞とは、地域の産業や産業遺産などを活用した産業観光による観光街づくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度。

最高位である「金賞」は、岐阜県のNPO法人ORGAN(オルガン)による「産業観光拠点『和傘CASA』を端緒とした、伝統工芸岐阜和傘の産業再生への多面的取り組み」が受賞した。和傘を軸に、高単価の商品や体験プログラムの造成・販売、戦略的なプロモーション活動、伝統産業を継承するための人材育成や他の伝統産業との連携など、活動の継続性、高い事業性が評価された。

ORGANは2011年から、長良川流域をフィールドに、地域の誇りの醸成と持続可能な地域づくりに取り組んできた。流域の伝統文化や食などの資源やストーリーを体験プログラムで提供し、長良川ならではの商品を販売する実店舗や、岐阜和傘などの伝統産業の拠点を開設。これらの販売や体験、職人のデモンストレーションなどをおこなう中で、伝統産業の商品単価アップにも貢献し、和傘の場合、5年間で約2倍の5万円に上昇したという。今後は長良川流域の文化を楽しむ高単価の観光商品も展開。地域の伝統文化を未来に継承する観光地域づくりを目指していく考えだ。

ORGAN理事長/プロデューサーの蒲勇介氏は、「取り組みの過程で、伝統産業の魅力とともに課題も共有されていった」と言及。ORGANでは、長良川流域文化の「レッドデータブック」を作成しており、サステナブルツーリズムの文脈でも注目されている。

第15回産業観光まちづくり大賞の受賞団体は以下の通り。