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日本旅行が「社名」ブランディング広告を実施した理由とは? 個人旅行の販売底上げへ、データの可視化で得た成果を聞いてきた(PR)

コロナ禍を経て、旅行会社のオンライン販売の重要性が増している。百年以上の歴史を誇る総合旅行会社である日本旅行も、デジタル領域での販売を強化する方針を打ち出し、その一環としてマーケティング戦略を大きく転換。個人旅行事業の底上げを図っている。

そんななか、同社は2022年4月、Yahoo! JAPANで認知目的の広告施策を展開した。実施したのは同社の看板商品「新幹線+宿泊パック」と「社名」のブランディングを目的にしたディスプレイ広告。その結果は、ヤフーも驚くほどの大成功だった。大手旅行会社の日本旅行は、なぜ戦略の転換時に認知施策を実施したのか。同社の課題に、ヤフーはどのように応えたのか。両社の担当者に話を聞いた。

認知施策の必要性と課題

日本旅行がマーケティング戦略を転換した背景には、同社の経営方針の見直しがある。同社は2021年、パンデミックによる影響やマーケットの激変を踏まえて中期経営計画を期中に見直し、2022年度からの中期経営計画を策定。経営戦略の柱の一つに「事業ポートフォリオ経営」を掲げ、事業領域単位の経営に転換した。その中で、ツーリズム事業は2022年より、商品造成部門、仕入部門、販売部門を一体化する運営に舵を切り、販売部門もオンラインとリアル(店舗)を一体的に見ることになった。

これによるマーケティング戦略への影響について、個人旅行分野のデジタルマーケティングを担当するツーリズム事業本部ICT営業推進部のマネージャー・盛満佳久さんは、「当部門も、旅行予約層から認知層までへのアプローチを図るために、デジタルマーケティングを有効活用する部門へと役割が変化しました」と話す。社内からの期待の高まりも肌で感じているという。

その期待の裏返しとして「我々の取り組みを会社全体に理解される説明が求められることになり、マーケティング成果の可視化がより重要になりました」(盛満さん)と続ける。「データの民主化を目指すため、各社員が自分事として向き合っていくべきだと考えています」と、ICT営業推進部が新たに背負った課題を説明する。

日本旅行ツーリズム事業本部ICT営業推進部のマネージャー・盛満佳久さん

また、日本旅行には、オンライン販売において以前から課題があった。それは、同社の認知だ。

ツーリズム事業本部ICT営業推進部Webマーケティングチームの中村茜さんは、「オンラインでの主力客層は20~40代の女性ですが、当社の商品だと知らずに予約購入する人が多く、購入後に日本旅行の商品であると気づいた利用者も少なくありません」と、認知の現状を説明。「購入した旅行が当社の商品であると認識されなければ、次の購買につながりません。偶然ではなく、認識された上で購入を促せるマーケティングの必要性を感じていました」と話す。

オンラインで旅行購買を完結させる客層への認知施策が必要なことは、わかっていた。それなのに踏み出せなかった理由は、「認知向上とブランディングを図るデジタルマーケティングを実施する場合は、その成果を可視化して的確に評価し、社内理解を求め、次の施策に反映するプロセスを組み立てる必要があります。そのための方法で悩んでいました」(盛満さん)。

これまで同社では、直接、購買につながる広告展開を中心に実施してきた。成果指標もラストクリックベースとなっており、自社の購買行動データのみでの評価としていたという。

ヤフーから、ディスプレイ広告をこれまでとは異なる手法で使用したプロモーションと、その結果を可視化する提案があったのは、ちょうど認知施策の実施と成果指標の可視化の課題に悩んでいた時期だった。「運命的といえるくらい、ぴったりのタイミングと内容だった」(盛満さん)と、すぐに実施に向けた打ち合わせを開始した。

日本旅行ツーリズム事業本部ICT営業推進部Webマーケティングチームの中村茜さん

広告の内容と訴求効果は?

ヤフーが提案したディスプレイ広告「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」は、Yahoo! JAPANトップページや主要提携パートナーサイトなどにバナーや動画を表示する広告。出稿の目的(成約獲得、動画再生、サイト誘導など)にあわせた運用が可能だ。ターゲットの興味関心や購買意向に基づくターゲティング機能も活用し、効果の最大化を図ることもできる。

日本旅行はプロモーションの前提として、以前からの課題である「起点指名率」を重視した内容を求めた。起点指名率とは、旅行購買の検討時、最初に検索するキーワードとして、同社の社名が含まれる割合のこと。その指標を引き上げることを目指した。

「当社がJR西日本グループであることの強みを生かした商品である『新幹線+宿泊パック』をいかに消費者に知ってもらうかがポイント。新幹線で旅行しようと考えた時に『日本旅行』や『新幹線+宿泊パック』を想起してサイトに来てもらうことが大切で、その起点指名率がどれくらい上がったら、販売にはどれくらいのインパクトを与えるのか。それが分かる『Yahoo! JAPAN第一想起分析』(以下、第一想起分析)のデータを求めました」(盛満さん)。

また、年間を通じた長期的な取り組みとして、プロモーション結果を都度検証しながら、プロセスを踏んでいくことも念頭に置いた。

これらの要望を踏まえてヤフーが提案した具体策は、Yahoo! JAPANのトップページ(ブランドパネル面)に動画広告を出稿するというもの。「新幹線+宿泊パックの認知を取る」「新幹線+宿泊パックが他社より優位に立てたかどうかを、第一想起分析で見極められる」ことを前提とした。

ヤフーのマーケティングソリューションズ統括本部第二営業本部営業2部の中村莉沙子さんは、提案内容とその意図について「プロモーションの前後で第一想起の分析結果の変化を測るのはもちろん、同時に課題点を明確化できることや、旅行に関心がある層の反応を確かめること、さらにはエリアによる違いも判定できる内容を念頭に置き、全体設計をしました」と振り返る。

具体的なテーマ別に3種のクリエイティブ(動画)を制作。エリアを絞り、1カ月にわたって「旅行・交通の購買意向を持つ20代~40代の女性オーディエンス」に配信した。対象エリアとしたのは、より「日本旅行」の認知度を上げたいと考えた地域だ。

実際に配信した3種の動画広告の一場面

ヤフー マーケティングソリューションズ統括本部第二営業本部営業2部セールス1の中村莉沙子さん

この結果は、日本旅行の期待以上のものだった。「結果のデータすべての指標で上昇が見られました」(日本旅行・中村さん)。ユーザーの広告への接触の有無で生じる行動の変化を図るリフト調査では、成約率(コンバージョンリフト)、検索結果(サーチリフト)とも明確に数値が向上。都道府県別に見ると、日本旅行の指名検索数が広告配信エリアで大幅に増加。第一想起分析結果として、起点指名率も大きく上昇した。それらは、可視化して社内で共有することができた。

日本旅行の盛満さんは、「ICT営業推進部の中には、メルマガやコンテンツなど広告以外の担当チームもありますが、それらの担当者にも成果を明示し、理解を得やすくなりました。当社の強みが可視化できたことで、『その強みを、メルマガで謳うアイデアなどにも生かせるのでは』といった発想も生まれています」と、さっそく部門内からの反応もあったという。

さらに、可視化されたデータがあることで、「新幹線+宿泊パックの販売をどうすれば伸ばせるか、予算額とプロモーションを例示しながら、他部署とのシナジーを作る一つのデータになると実感しています。始まったばかりですが、可視化されたデータをもとにプロセスをうまく踏んでいく目途が付き、そのための有力な材料を確実に入手できると分かった点も、大きな収穫です」(盛満さん)と評価する。

大きな課題の1つだった、オンラインにおける「日本旅行」の想起。広告出稿エリアでの検索数が1.5倍近くまで増加

「新幹線+宿泊パック」も出稿後に“指名買い”が増加

デジタルマーケティングで次の展開へ

今回のプロモーションは、ヤフーにとっても想定を超える良い結果となった。「一部指標が上がることはよくありますが、全部というのはそこまでない。今回は広告配信エリアの20~40代女性という絞り込みで、複数回の広告を出稿しました。ターゲティングとプロモーション目的の設定、クリエイティブの設計がぴったりとはまった結果だと思います」(ヤフー・中村さん)と振り返る。

また、日本旅行の盛満さんは、ヤフーのサポート体制に全幅の信頼を置いたという。広告配信中も、途中経過の共有や情報交換をしながら進行を見守ることができ、「安心して取り組むことができました。こんなに頻繁に質問や要望をリクエストして良いのかと、恐縮するほどだった」という。

対談の様子からも相互の良好な信頼関係が伝わってきた

では、今後はどんな取り組みをおこなっていくのか?

ヤフーでは、過去のデータから、旅行に関心があるユーザー群といった広告配信先のターゲット設定が可能な「オーディエンスカテゴリーターゲティング」として、「旅行興味関心ターゲティング」を提供。それ以外にも、クライアントの特性や課題に合致した広告提案をしている。

また、「店舗への来店効果を計測するソリューションもあり、提案も可能だと考えています」(ヤフー・中村さん)と新たな企画提案にも積極的だ。「旅行以外の目的で移動や宿泊を求める消費者層、例えばアニメなど熱烈なファンを持つ分野のイベント等で生じる移動・宿泊マーケットに対するアプローチなども提案していきたい。より自由な発想で認識やデータを共有し、活用方法を含めて議論ができるようにしたいと思います」と、新たな可能性に意欲を示す。

日本旅行の盛満さんも、「Yahoo! JAPANには広範な領域のデータがあります。直接的な旅行関連データ以外にも、旅行と親和性の高いデータ、たとえば移動や交通関連などについては活用の仕方次第で面白い取組みができそう。LINEやPayPayといったZホールディングス様とのシナジーも視野に入れて強化を図りたいと思います」と、企業ビジョンである「顧客と地域のソリューション企業グループ」実現に向けてさらなる展開を模索する。

今回のプロモーションの成功を通して、日本旅行とヤフーは新たな可能性でのコラボレーションを拡大していく考えだ。ヤフーという伴走者とともに、日本旅行が取り組む新たな展開に注目したい。

広告:Yahoo! JAPAN

お問い合わせ:https://marketing.yahoo.co.jp/contact/

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記事:トラベルボイス企画部