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日本旅行業協会、北海道・道東への誘客プロモーション始動、知床の観光回復に向けて旅行8社が参画

日本旅行業協会(JATA)は、北海道および北海道観光振興機構の協力のもと会員会社8社とともに「全国旅行支援割(HOKKAIDO LOVE!割)」を契機とした北海道道東への誘客拡大プロモーションを展開する。

知床では、今年4月に発生した観光船事故以降、観光への影響が長引き、観光客数も伸び悩んでいる。プロモーション発表の記者会見で、大きな事故後に観光PRに踏み切った理由について日本旅行業協会副会長の小谷野悦光氏は「慎重さが必要である一方、日本を代表する観光資源を有する地域の事業者がやっていけなくなる危機感が強い」とうったえ、観光事業者の厳しい状況に理解を求めた。

日本旅館協会北海道支部連合によると、2022年4月~9月の宿泊者数は、道民割などで道内需要を喚起することで2021年比で全道では91%増となったものの、知床は45%増にとどまっている。コロナ前の2019年比では全道で38%減、知床が44%減。知床や道東は、人口の集中する札幌から遠隔地であることもあり、コロナ禍の打撃が回復しきっていないところに旅客船事故が起きた。

北海道経済部観光振興監の山崎雅生氏は、同地域が6~9月の夏期に1年間の収入を稼ぐ特性があることを説明。旅客船事故の影響で、今夏の観光が消滅してしまった知床の事業者の厳しい経営状況、それによる事業撤退の可能性、さらに層雲峡、網走など周辺地域の需要減にも影響している実情に危機感を示した。

北海道は、近年、アドベンチャー・トラベルに注力している。2023年には北海道でアドベンチャー・トラベルの世界サミットが開催される予定だ。大自然の広がる知床は、北海道のアドベンチャー・トラベルに適しており、外国人には知床のベストシーズンは冬と言われることが多い。山崎氏は、知床や道東地域の観光回復に向けて「日本人が知らない、冬ならではの良さを紹介したい」と語った。

プロモーション発表の記者会見旅行8社によるプロモーションには、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム、日本旅行、JTB、東武トップツアーズ、エイチ・アイ・エス、読売旅行、阪急交通社が参画。各社、道東への旅行商品を設定するほか、共同サイトや広告展開を行う。

また、国内旅行需要回復を目的に実施中の「笑う旅には福来たる」キャンペーンに新たに『北海道賞』を設け、当該地域への誘客を促進していく。新設する賞の実施期間は2022年11月1日~2023年3月31日。対象は、JATA会員旅行会社で 1人当たり1万円以上の北海道に宿泊する商品を購入し、対象期間に旅行した人。 抽選で10人に「次回北海道旅行に使用できる旅行券(目録)2万円分」をプレゼントする。