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レジャー白書2022、2021年の余暇市場はコロナ前の2割減に、遠方への移動の落ち込み続く ―日本生産性本部

日本生産性本部の余暇創研はこのほど、2021年の余暇活動状況をまとめた「レジャー白書2022」の概要を発表した。2021年の余暇関連市場規模を前年比1%増の55兆7600億円と推測。ただ、2019年との比較では22.9%減の水準で、同じコロナ禍の2020年に引き続き、動画鑑賞や読書といった在宅レジャーの参加人口が上位となる一方、観光やドライブななど遠方への移動を伴う余暇が減少したと指摘した。

調査は全国15~79歳男女3211人を対象に、2021年のスポーツ、趣味・創作、観光・行楽の計108項目の余暇活動の参加率、回数、費用、希望率を1977年より定点観測。参加人口、市場規模を推計した。

国内観光旅行は6位に順位下げる

2019年まで首位だった「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」は2020年の4位からさらに6位へと順位を下げ、参加人口は3230万人と2020年の3390万人から170万人の減少となった。同じく「ドライブ」も2020年の5位・3340万人から7位・2850万人へと大きくダウン。コロナ禍により、2021年は遠方への移動を伴う余暇が軒並みダウンしたことが如実に表れている。外出で向上がみられたのは、「ウィンドウショッピング」「温浴施設」など一部にとどまった。

観光・行楽部門全体の市場規模は、全体で0.4%増と遊園地・レジャーランドが復調し、ホテルも増加に転じたが、コロナ禍の規模には遠い。余暇創研は「とりわけ、水際対策によってインバウンドと海外旅行が消失した旅行業のダメージが大きく、歴代最少規模を記録している。鉄道、バス、航空も2020年ほどではないが、落ち込みが続いた1年だった」などと見ている。

読書が初の首位、競艇も急伸

一方、「読書(仕事、勉強などの娯楽としての)」は初の首位。参加人口は3700万人で、2020年より50万人増加した。「動画鑑賞(3690万人)」「音楽鑑賞(3420万人)」「ウォーキング(3240万人)」など、在宅や近場でできる種目も高順位と、世相を反映した。

同じく、復調が目立つのが、スポーツとコンテンツ配信だ。スポーツ部門は前年比10.7%増で、特にスポーツ観戦とフィットネスの伸びが目立つ。2020年も伸びたゴルフ練習場はさらに拡大した。逆に、健康的な移動手段として注目を浴びたスポーツ自転車は反動減となった。コロナ禍前から堅調だったコンテンツ配信は引き続き伸びた。また、急進著しいのが公営ギャンブルで、特にボートレース(競艇)は前年比22.6%増と急伸した。桜美林大学教授の山口有次氏は「マーケティングが成功している」と分析する。

なお、余暇創研究は今回、「80代・高齢者の余暇活動参加状況」についても特別に調査を実施した。これによると、80代が65~79歳と異なる点は、男性では「体操」「日曜大工」「写真の制作」「ピクニック、ハイキング、野外散歩」が高く、「国内観光旅行」への参加率は減少している。女性は「ウィンドウショッピング」が10位以内に入った。

発表資料より