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2021年度の修学旅行、「中止」が大幅に減少、日程など「変更して実施」が多勢、コロナ収束後は海外での実施再開の意向高く

日本修学旅行協会はこのほど、2021年度に実施された中学校・高等学校の修学旅行に関する新型コロナの影響をまとめた「教育旅行年報データブック2022」を刊行した。それによると、中学校・高等学校ともに「計画通り実施」は1割未満にとどまったものの、2020年度と比べると、「中止」が大幅に減少し、「旅行日数」や「旅行方面」、「時期」などを再考して当年度内への変更が増加。検討を重ねて、実施に動いた様子が見てとれる。

中学校での実施は78%、変更相次ぐ

調査は国公立、私立の中学校1万76校から3046校、高等学校4856校から3078校を抽出して実施。中学校895校、高等学校930校から回答があった。

これによると、中学校895校のうち、実施したのは78.3%で、21.7%が実施しなかった。

このうち、当初計画から中止・変更があったかという問いに回答した884校では、「計画通り実施」したのが6.6%、「当年度内への変更」が71%と最も多く、「次年度への変更」が5.9%。「中止」は15.8%で、2020年度の「中止」51.5%より大幅に減少した。

行き先トップ3は京都、奈良、山梨で、時期は10、11月に集中。歴史学習、自然・環境・科学学習、ものづくり体験に重点を置いた学校が多かった。

高校での実施は54%、当初計画からの「中止」割合が高く

高等学校は930校のうち、「国内で実施」したのが54.1%、「実施なし」が45.9%。

当初計画から変更があったかという問いに対しては、「計画通り実施」が9.1%、「当年度内への変更」が42.3%、「次年度への変更」が17.3%、「中止」が27.1%と、中学校に比べ当初計画からの中止の割合が大きい。

旅行先のトップ3は長崎、大阪、京都の順だった。沖縄は長年1位の行き先だったが、2020年度は2位、2021年度は5位となった。他地域の感染が減少傾向になっている時期でも感染が拡大していたこと、また現地で発症した生徒が出た場合、保護者の迎え手段が空路しかなく対応に制約があることが響いた。重点を置いた分野では、歴史学習、自然・環境・科学学習に次いで、平和学習、芸術・文化体験も上位にあがった。

一方、海外教育旅行については、コロナ収束後の再開意向は高いようだ。中学校では調査対象90校のうち、82.2%、高等学校では218校のうち82.1%と、ともに8割以上が再開意向を示している。

日本修学旅行協会では、毎年、前年度実施の修学旅行に関する調査を実施。「教育旅行年報データブック」を刊行して調査データを発表している。