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日本旅行業協会、海外旅行の需要回復へ通年プロジェクト、海外旅行を「当たり前に楽しめる環境を」

日本旅行業協会(JATA)は2023年4月1日から1年間、海外旅行の需要喚起に向けたプロモーション「JATA海外旅行促進プロジェクト」を実施する。5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げられ、検疫に伴う水際規制のハードルが下がることを契機に、海外旅行に出かける機運醸成を図っていく。

JATA副会長で、海外旅行促進活動の活性化を目的とするアウトバウンド促進協議会(JOTC)会長の酒井淳氏(阪急交通社代表取締役社長)は、「日本人が海外旅行を当たり前のように楽しめる環境を作るため、マインドセットが必要。今こそ海外旅行、この意識を多くの人に浸透させていく」と意気込みを示した。

あわせて、観光庁が日本人の海外旅行に対して「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」を策定し、コロナ前(2019年)の出国者数2000万人水準を目指すことを明言していることを説明。「今後、観光庁ともタッグを組み、本格的に取り組んでいく。今年は間違いなく、海外旅行の需要回復ができる年。プロジェクトが起点となり、機運醸成がされることを確信している」とも話した。

JATA副会長、JOTC会長の酒井淳氏

プロジェクトのキーワードは「継続的、多面的、業界あげて企画すること」。「Imakoso(今こそ)海外!~いつ行こうから、いますぐ行こうへ!」をキャッチコピーに特設ウェブサイトを開設し、海外旅行の促進を目的とする各種キャンペーンを段階的に実施して、同サイト上で展開する。プロジェクトとキャンペーンにはJOTC会員の空港会社や航空会社、観光局、大使館が賞品提供などで協賛。JATA会員の旅行会社が、各社の顧客チャネルを通して周知・拡散をおこなう。

現在、4つのキャンペーンが発表できる段階にあり、まず第1弾として4月1日から、機運醸成を目的に先行して海外旅行をした人に旅行の様子をシェアしてもらう「応援投稿キャンペーン」を実施する。次いで5月8日からは、特に若年層に向けた機運醸成として、JOTC会員に海外で流行しているモノやコトの発信を促し、拡散を図る「現地のZ世代イチ推しTwitter投稿」を開始する。

このほか、5月15日からは夏休みの海外旅行促進に向け、対象期間の旅行予約を対象にした「夏旅Wキャンペーン」や、「パスポート取得費用サポートキャンペーン」なども予定している。各キャンペーンの詳細は、5月15日に発表する予定だ。

JATAでは現在のところ、海外旅行者数の回復について、2023年と2024年の目標値は立てておらず、2025年に「2019年(2008万人)を上回る水準」と設定している。これについてJATA海外旅行推進部長の稲田正彦氏は、観光庁に連動した形で設定した長期的目標であることを説明したうえで「(コロナ禍の3年間)海外旅行に行けなかった。機運醸成を図り、海外旅行に行ける環境をこの2年で築いていければ、2000万人は決して遠い数字ではない。気持ちを含めて、何とか戻したい」と、期待を込めて話した。