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日本旅行業協会、海外ツアーの実施指針を発表、取消料や帰国困難時の滞在費用の考え方も

日本旅行業協会(JATA)は2022年4月、旅行会社における海外企画旅行の実施についての対応と考え方を発表した。現在、旅行各社がハワイなど海外ツアーの販売を再開しているが、その指針となるもの。2022年4月1日付で外務省が「感染症危険情報の見直し」を発表し、感染症危険情報のレベル3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を106カ国・地域でレベル2「不要不急の渡航は止めてください」に引き下げたことを受け、観光庁、外務省と合議した。

これまでの「企画旅行の実施における外務省海外安全情報への対応と考え方」に関し、特例措置として「新型コロナウィルス感染症に関する外務省海外安全情報への対応と考え方」と「海外旅行における運用手引書(第2版)」および「海外教育旅行の手引き(第1版)」を作成し、並行して運用していく。会員各社に対し、企画旅行実施検討の判断基準として活用してほしいと呼びかけている。

レベル2でも感染防止対策・説明で実施可能に

これによると、感染症危険情報がレベル1「十分注意してください」とレベル2の対象地域については、まず、旅行業者が感染症危険情報の内容を十分に踏まえたうえで、旅行業者自らの判断により、海外旅行運用手引書に基づいた感染防止対策などの適切な対応を講じられるか否かを検討する。

そのうえで、感染防止対策などの適切な対策が講じられる場合は、旅行者に対し感染症危険情報の発出地域である旨を記載した書面を交付し、海外旅行運用手引書に基づいた対策を十分説明したうえで、旅行を実施できるとした。一方で、適切な対策が講じられない場合は旅行を実施しない。レベル3以上の国・地域への企画旅行の催行もおこなわない。

また、旅行中に急激な感染拡大やロックダウンがあった場合、また感染症危険情報がレベル3、レベル4(「待避して下さい。渡航は止めてください」) に引き上げられた場合は、安全に契約通りの旅行が継続できるかを検討し判断。旅行者に状況、内容を十分に説明したうえで旅行を中止する。

旅行者から帰路手配の求めがあれば、旅行者負担で速やかに帰国させる。航空便の運休などが発生し、やむを得ず現地に滞在する場合は、最寄りの日本大使館・領事館、旅行者の家族に連絡。移動手段が確保でき次第、速やかに帰国する。滞在中は旅行者の不安を和らげるよう、ランドオペレーターとも連携し、最新の情報を提供することを心がける。

対策講じた契約解除は取消料徴収可能

なお、感染症危険情報がレベル3、レベル4の場合で、旅行開始前に旅行を中止する際は、旅行者から取消料を徴収することはできない。旅行開始前に旅行内容を変更する場合は、旅行代金の増・減額は旅行者に帰属するが、重要な内容の変更であれば旅行者は取消料の支払いなしで解除できる。旅行開始後に旅行内容を変更する場合については、旅行代金の増・減額は旅行者に帰属し、旅行者は変更部分についてのみ取消料の支払いなしで解除ができる。

一方、感染症危険情報の内容をよく検討した上で、同手引書に基づいた感染防止対策等を取り、旅行を実施するにもかかわらず、旅行者が契約解除する場合は、旅行業者は旅行者から取消料を徴収することができることとした。

旅行開始後に中止する場合は、旅行者が提供を受けていない旅行サービスにかかる部分の旅行代金は返金。その際、サービス提供機関が課す取消料・違約料は旅行者負担となる。やむを得ず現地に滞在する場合の滞在費用等は旅行者の負担となる。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する外務省海外安全情報(感染症危険情報)への対応と考え方【募集型・受注型企画旅行実施についての特例措置】