このほどボーイング社から民間航空部門インターナショナルコミュニケーションズ マネージャーのケビン・ユー氏が来日。アエロメヒコ主催の旅行会社向けセミナーで、B787の特徴と革新的な点をアピールした。今回のレポートは、B787型機に搭乗経験のない読者にもわかりやすいキャビンの仕様について紹介する。
787型機の魅力についてユー氏は「目に見える新しい経験を得られる」として客室に導入された新しいポイントを紹介した。また、787型機が設計されたのは「ポイントToポイントを結びたいという基本理念から」として、このほど導入されるアエロメヒコ航空の東京/メキシコシティ線が飛行レンジなどの点で「理想的なルートだ」として、同社の787型機導入を歓迎した。
▼キャビンの特徴1、居住空間の広さがポイント
同機のコンセプトのひとつは、旅客に広い空間を提供してリラックスしてもらうこと。天井は、従来よりも高い約3メートルで頭上の荷物をとるために立ち上がっても頭をぶつけることはない。また、手荷物収納スペースを拡大し、キャスター付きのスーツケースが4ついれることができるという。
窓は6割大きく、位置も高めに配置。この配慮で、窓際でない中央席の旅客も外の景色が見られるようになり、同氏は「どのシートに座っても隣の感覚が味わえる」と紹介した。さらに、従来、旅客やキャビンクルーが手動で開閉していた窓に新しいシステムが導入されて開閉の必要がなくなっている。これは、外からの光量を調整するもので、光をすべて遮断すると、従来の窓を閉めた時と同様に外の景色が見えなくなる。キャビンクルーが客室全体を一斉に調整することも可能だ。
▼キャビンの特徴2、快適性の向上
B787型機の機内照明にはLEDを採用しており、色の設定は14種類から選択が可能だ。 ユー氏は、この利用方法について「例えば、食事の際に照明をオレンジにすることで食事が美味しく感じられる照明ではないか。」と紹介。これはボーイング社の調査で、人間が視覚的に食事を美味しく感じることができる色がオレンジである結果によるもので、その他のシーンでも視覚に変化を与えることで航空機内での快適性向上に活用できるものだ。
また、従来の航空機は高度8000フィート上空を飛んでいたがB787は6000フォートに保つことが可能となった。これによって、耳鳴りや乾燥を改善。特に機内の乾燥は、旅客を悩ませ、それによる頭痛などで長距離では疲労感の大きな要因となってきたが、同機は湿度の調整も可能となっている。
▼キャビンの特徴3、衛生面の配慮
B787型機では、病院で使われるのと同じレベルの機能をもつ空気清浄フィルターを使用している。これによって、客室内の空間ではウィルスやカビなどの除去が可能に、さらに食事後の匂いなども取り除くことが可能なった。
また、従来、旅客から指摘事項が多かったトイレも改善。ドアを開きやすいデザインに、最近トレンドとなっている窓の設置も可能とした。手洗いはタッチレスで衛生面にも配慮されている。
▼現在のB787型機
ボーイング社、ユー氏によると787型機は現在4450万マイルを飛行、世界各地650万人が搭乗しており、33000回フライトが実施されている。 導入・稼働している航空会社はアエロメヒコ航空(AM)含めて81機。これまで紹介した同機の特徴はボーイング社による標準装備で、航空会社それぞれの判断でカスタマイズが可能。アエロメヒコ航空のB787型機がどのような仕様でフライトを開始するか、運航開始が待たれる。
アエロメヒコ航空、日本支社長の加藤欣弥氏は昨今の同機の安全性などの批判について、「新機材は批判も多いが、次世代には必ず787の時代が来るはず」として応援姿勢を示した。