訪日外国人が増えるにつれて、YouTubeやVimeoにアップされる日本の旅を題材にした動画も増えてきました。個人的な日本の思い出を撮ったプログ的な動画からプロ並みに編集を施した本格的な動画までさまざまです。
今回紹介する動画は、アメリカ人のスコット・ゴールドさんが奥さんと日本を旅行したときに一眼レフカメラのキヤノン5DMarkIIIで撮影したものです。2年前に公開されたとき、日本人のあいだで『ここは本当に日本なのか!』と話題になりました。
ロケ地は、築地、渋谷スクランブル交差点、大相撲、新幹線、地獄谷野猿公苑、二条城、湯田中温泉など外国人観光客が訪れる定番スポットが多いですが、スローモーションで再現することで、美しい日本の姿を落ち着いた空気感で伝えています。BGMとのマッチングも素晴らしい。日本人には見慣れた景色でも、そこに深い精神性さえ感じてしまいます。
私がグッとくる場面は、築地市場で競りを終えた競り人が、帽子を取ってお辞儀をするところです。スローモーションのなかで、笑顔がゆっくりと広がります。外国人にとっては、お辞儀は日本らしいことのひとつなのかもしれませんが、あらためて感謝の所作として美しいなあと思ってしまいます。小津安二郎的なローアングルで撮られた茶道の所作にも静謐な美しさがあります。
ゴールドさんが、どれほど日本のことを知っているのかは分かりませんが、この動画は単にロードムービーのように風景が移り変わるだけでなく、市井の日本人のメンタリティーをも映し出しているように見える。地獄谷のニホンザルでさえも。だから、日本人のあいだでも「美しい」と評判になったのではないでしょうか。
January in Japan(Youtube:約7分)
トラベルジャーナリスト 山田友樹