南米ツアーを中心に販売してきた第1種旅行業の海外移住旅行社が2016年4月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。負債額は現在調査中。事業停止に伴う旅行客への被害はなく、同社の名古屋支店が別会社を設立して「KIRツアー」のブランドを引き継ぎ、名古屋地区の顧客を対象に営業を継続しているという。
前身の海外興業は明治時代の海外移住を扱う旅行業者として創業。日本/ブラジルの移民者を対象とした各種手続きの代行業務を手掛け、昭和33年から海外移住旅行社としては運営してきた。同社の「KIRツアー」では、ブラジル大自然紀行やアルゼンチン、ペルー、コロンビアツアーへの企画旅行、ブラジルサッカー留学として名門チーム「クルゼイロ」への留学手配なども。ピーク時の平成17年9月期の売上高は41億2000万円だった。
一方で、航空券予約サイトのシステム投資やブラジル事務所を開設などで投資が増加。東日本大震災発生、円高の影響による為替デリバティブ取引による為替損失計上なども重なり、経営を圧迫。26年9月期には、売上高16億1153万円に減少していた。
昨年10月には事業を閉鎖し、日本旅行業協会(JATA)からも脱退手続きをとっていた。