インスタグラム(Instagram)は新たに「#unknownjapan」キャンペーンを開始した。これに合わせ銀座の観世能楽堂で「インスタミート」を開催。約30名のインスタグラマーを招待し、キャンペーンの発表を行った。
#unknownjapanは、写真や動画を通して、さまざまな「知られざる日本」の魅力を世界に発信し、日本政府が掲げる2020年までに訪日外国人旅行者数4,000万人、消費額8兆円の目標をサポートしていく取り組みだ。
今回のイベントに合わせて来日したインスタグラム最高製品責任者のケビン・ウェイル氏は、すでに世界の月間アクティブユーザー数は8億人を超えており、訪日市場についても今年これまで300万人の訪日外国人が2,000万件の投稿をしていると説明。「インスタグラムを使うことで従来の観光とは違う新しい体験をすることができる」と述べ、観光との親和性を指摘した。また、昨年行った旅行者のアンケート結果について触れ、全体の3分の2が次の旅行先の選定や週末の過ごし方でインスタグラムを参考したことから、「旅のインスピレーションを得る大きなツールにもなっている」と強調した。
インスタグラムは今年末にこのキャンペーンの成果を集めた展示会を開催する予定だ。
合わせて、日本政府観光局(JNTO)も公式インスタグラムアカウント@visitjapanjpを開設した。JNTO理事の柏木隆久氏は、「JNTOの各国事務所がそれぞれSNSを使った発信を行っているが、旅のコンテンツなどをSNSユーザーと作っていく時代に入った。インスタグラムユーザーと連携することで、政府目標を達成してきたい」と挨拶。また、「観光と写真し相性がいい」と話し、新倉山浅間公園からの富士山や豪徳寺の招き猫など一枚の写真によって人気が高まった場所を紹介したうえで、イベントに訪れたインスタグラマーに対して「日本の観光大使として日本の魅力を発信して欲しい」と呼びかけた。
観光庁からは田村明比古長官も登壇。「従来はプロフェショナルの力をもって、一方的に消費者に伝える時代だったが、今は一般の消費者が自らの体験を発信する。それによってサプライヤーサイドも気づかないことを発見できるようになった」と述べ、インスタグラムなどSNSの影響力に対して大きな期待を寄せた。
また、「『知られている日本』でもいろいろな角度で捉えることで、新しい魅力が生まれてくる」とコメント。インスタグラマーによる新しいストーリーの発信に期待を寄せた。
日本政府観光局
デジタルマーケティングをテコ入れへ、新たな組織も設置
世界各国の政府機関や観光局は観光プロモーションのツールとして積極的にインスタグラムの活用を進めている。JNTOも、今回、公式アカウントを開設。柏木氏は、その背景について「SNSなどデジタルプロモーションを集中的に実施していくなかの取り組みのひとつ」と説明した。
開設のタイミングは「もう少し早く開設してもよかった」としつつも、「月間アクティブユーザー数8億人以上のコミュニティーは魅力で、遅すぎることはない」との見解。また、インスタグラムに期待する効果では、日本の新しい魅力の発信するとともに「これまで観光地として日本を見てこなかった層へもリーチできる」と自信をみせた。
JNTOでは、他国のインスタグラムの活用状況も分析。それによると、オーストラリア政府観光局が突出しており、現在フォロワー数が230万人を超えていることから、「@visitjapanjpでも、この数を目指していきたい」と意気込みを示した。
JNTOでは現在、ウェブサイトの全面見直しも実施中。掲載コンテンツをより外国人目線で書き換える作業を進めているという。今秋には、そのウェブサイトの運営に加えて、インスタグラムを含めたSNS対応、公式アプリなどを統括する新たな組織としてデジテルマーケティング室を設置する予定だ。
取材・記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹