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京都観光のプロモーション「そうだ 京都、行こう。」を展開している東海旅客鉄道(JR東海)は、昨年に引き続き、京阪ホールディングスとのコラボレーション企画として、京都市内の10社寺を巡る「青もみじ御朱印めぐり」を実施している。「青もみじ」とは、秋の紅葉の前、4月〜9月に青く茂るもみじのこと。その美しさで有名な貴船神社、下鴨神社、河合神社、常寂光寺、神護寺、東福寺、曼殊院門跡、東寺、北野天満宮、宝厳院を訪れることで、この季節ならではの京都を楽しんでもらうという企画だ。
JR東海では、この企画に合わせて、寺社めぐりに便利な京阪電車・叡山電車1日チケットと京都地下鉄・嵐電1日チケット、10社寺のうち2ヶ所で特別な御朱印を受け取れる授与券がセットとなった商品を、2018年9月30日までの設定でJTB、日本旅行、近畿日本ツーリス、東武トップツアーズ、名鉄観光、JR東海ツアーズから販売している。
インスタ映えする石段の参道が話題の「貴船神社」
対象となる10寺社は、青もみじの美しさだけでなく、それぞれパワースポットとしても知られるところ。鴨川の源流である貴船川沿いに広がる「貴船神社」は、水を司る神様をまつり、いまでも海上自衛隊から酒蔵まで水にかかわる人たちの参拝が絶えないという。貴船神社は、朱色の春日灯籠が並ぶ約80段の参道がSNSで話題になったことから、人気の観光スポットとなった。5月からは貴船川沿いの料亭や旅館では川床料理が始まるほか、ゴールデンウィークから5月末までの期間限定(5月3日、4日、5日、6日、12日、13日、20日、26日、27日)で参道のライトアップが行われることから、初夏にかけてさらに注目が集まりそうだ。
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緑の苔と青もみじが美しい回遊式庭園の「宝厳院」
嵐山・天龍寺の塔頭である「宝厳院」は、「獅子吼の庭」など巨石が絶妙に配された回遊式庭園が美しいところ。また、このあたりは、幕末の禁門の変のとき、長州藩の陣が張られた場所のひとつ。ここから御所に向かい会津藩と薩摩藩との戦いに挑んだ。長州藩は惨敗。残党狩りのため宿営地となった天龍寺も焼き払われ、その後明治時代になって再建された。自然の美しさと歴史の動乱。いかにも京都らしい風情を感じられるところだ。宝厳院は通常は非公開だが、春と秋に特別公開される。
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藤原定家も愛でた嵐山「常寂光寺」
嵐山にはもうひとつ御朱印巡りの対象となっている寺がある。小倉山の中腹にある日蓮宗の「常寂光寺」。百人一首の歌人藤原定家の山荘「時雨亭」があった場所だ。古くから紅葉の名所として観光客を惹きつけているが、新緑の季節には青いもみじが古刹を清々しい風景に変える。観光客で賑わう渡月橋から歩いてくると、その静寂が一層身に染み入る。茅葺の仁王門をくぐり、緑に覆われた石段を登ると、眼下に嵯峨野の景色を一望。定家は、この風景を愛でながら秀歌を選んだ。そう思いをはせると、常寂光寺の新緑もさらに深みを増してくる。
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自慢したくなる特別感、「瑠璃光院」の貸切ライトアップ
このほか、JR東海では、同じく京阪ホールディングスとのコラボレーションとして、「京都洛北 八瀬もみじの小径ライトアップと瑠璃光院 夜の特別拝観」を商品化。「そうだ 京都、行こう。」申込者1500名限定(1日150名程度、5月12日〜6月10日までの土日10日間実施)の貸切プランとして、今回初めて青もみじの季節に一般公開する。瑠璃光院は、数年前から秋の紅葉のライトアップの美しさがSNSで話題になったところ。今回は、書院から格子越しにライトアップされた幻想的な青の庭園を堪能することができる企画を用意した。
書院1階と2階から庭園を鑑賞することが可能。1階からは地面の苔とそれを覆う青もみじが、2階からは空間全体に広がる青もみじが眺められ、その借景は一幅の上質な絵画の様。貸切プランとなるため、それぞれ趣の異なるライトアップをじっくりと楽しむことができ、特別感も格別だ。思わずSNSに投稿して人に自慢したくなるような体験がそこにはある。
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開放的な八瀬のライトアップ青もみじ
一方、周辺の八瀬エリアでも、八瀬もみじの小径、叡山ケーブルの「ケーブル八瀬駅」と「ケーブル比叡駅」でも初めてライトアップを実施する。頭上を見上げる八瀬もみじの小径の青もみじは開放的。しっとりとした瑠璃光院とは異なる風情のライトアップを楽しむことができる。比叡山の中腹に当たる終点のケーブル比叡駅からは京都市内を一望する。四方を山に囲まれた市内のところどころに緑の森。御所、二条城、下鴨神社・・・・。京都観光の思い出に浸るのにふさわしい場所だ。
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