トラベルポート、NDCから出張管理までトレンド解説するセミナー開催、出張管理アプリ「トリップアシスト」は本格展開へ

トラベルポートジャパンは、旅程管理アプリ「トリップアシスト」を日本で本格的に展開する。これに合わせて、出張・業務渡航に焦点を当てた「BTMデジタル・ソリューション・セミナー」を開催し、トラベルポートデジタルが新たに開発したアプリの業務渡航での活用について説明を行った。

*写真: 挨拶にたったトラベルポートジャパン社長の東海林治氏。「今は旅行会社にとって危機であり、チャンスでもある」

トリップアシストは、タビナカでの顧客とのコミュニケーションを進化させたモバイルアプリ。PNRを自動反映させ、詳細な旅程を表示するほか、FlightStatsの運航情報を元にしたフライト情報を自動通知するなど出張者の旅程を管理する。

また、メッセージ配信機能も搭載。ウェブ上の管理画面でプッシュ通信の送信を定義し、旅程中に含まれるデータやフライト運航情報をプッシュ配信に活用することもできる。メッセージ本文は日本語を含め多言語が可能。スマートフォン本体の言語設定に準じて、アプリの表示言語が自動で切り替わる。

さらに、レポート機能ではさまざまな使用状況を把握できるほか、データの収集も可能。旅程メールの取り込みでは、TMCを通さずに手配した予約記録を出張自らメール転送することもでき、それによりTMCは他で予約された旅行素材の傾向を把握することが可能になるうえに、出張者の旅程情報を集積できることから危機管理にも役立つ。

このほか、トリップアシストを活用するTMCは、自社ブランドのアプリとして、AppStoreやGoogle Playでクライアント企業に提供することが可能。トラベルポートは黒子としてシステム運用をサポートする。

ソリューションの概念(プレゼン資料より)

今後も開発を進め、2019年春にはレンタカー予約、ウェブ対応、他社GDSへの対応、チャットボット対応などを実現する計画。さらに、将来的には業務渡航向けオンライン予約機能「ロコモート」と統合し、タビマエからタビナカまでをモバイルでサポートしていく仕組みを提供していく方針だ。

説明を行ったトラベルポートジャパン・シニアソリューションマネージャーの高橋章氏は、「危機管理などタビナカがTMCの盲点となっていたが、トリップアシストによってリアルタイムでカバーできるようになる」と発言。トリップアシストは、TMCの基幹システムと連動することで業務渡航を一気通貫で管理する「サービスインテグレーターになる」と位置づけた。

トラベルポート高橋氏

これからTMCに求められるサービスとは、IATA白書から

このほか、セミナーではビジネスディベロップメントマネージャーの清水久司氏が、国際航空運送協会(IATA) が発表した「Time to Fly」白書をもとにTMCビジネスを取り巻く現状を説明した。この白書は、IATAが導入を進めるNDCについて、世界の大手企業から形成されるTMAG (トラベル・マネージメント・アドバイザリー・グループ)からのアイデアをまとめたもの。

清水氏は、白書をもとに、企業の出張管理ニーズとして「優れたUX」「最適な商品の選択」「危機管理支援」「コスト削減」の4つが挙げられ、充実したコンテンツに加えて、「たとえば、空港でのTMC専用レーン」(清水氏)など明快な付加価値が求められると紹介した。

そのうえで、デジタルプラットフォームを基盤として、「トータルマネージメント」「リアルタイム」「個への対応」がTMCに求められているとした。トータルマネージメントでは、GDS、LCC、NDCなど予約の多元化が必要となり、サプライヤー交渉からオペレーションまでを一括管理できる態勢や出張者の健康管理も求められるという。

リアルタイムでは、フライト情報や危機管理サービスなどの即時対応のほか、さまざまなコミュニケーションツールでの対応が必要。個の対応では、手配実績に基づいて「好み」を反映させるパーソナライゼーションに加えて、優秀社員への報奨としてのゲーミフィケーション、TMCに特化したマイレージサービス(FFP)の要望も挙げられていると説明した。

トラベルポート清水氏

NDCは「配管工事中」、年内にスマートポイントで公開へ

NDCの取り組みについては、営業推進本部長の沢田しげみ氏が「NDCは全く新しいコンセプトではない。標準化したAPIが加わるだけ。現在は、そのパイプをつなぐ配管工事をしている段階」と説明。トラベルポートはすでにLCCを含む24航空会社とAPI接続し、LCCとFSCとの同時検索も可能になっていることから、「すでにマルチソースに取り組んでいる」と優位性をアピールした。

今後の計画としては、今年10月にも複数の航空会社と欧州の旅行会社とでテストを開始し、年内にスマートポイント(ガリレオGDS)での公開を目指す。さらに、2019年下半期には、スマートポイント端末でのGDSコンテンツとのアグリゲーションを進め、「GDS、NDCを気にすることなく操作ができる」環境を整えていく。

NDCでは、予約の作成や管理は航空会社が行うため、PNRが存在しない。沢田氏は「しばらくは従来のGDSとNDCが混在する状況が続くが、旅行会社のワークフローを変えないで、NDCを取り込んでいくことに注力していく」と付け加えた。

トラベルポート沢田氏

取材・記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…