紙のガイドブックの世界観をオンラインで ーLINE若手スタッフが取り組む着眼点や今後を聞いてきた

旅行メタサーチLINEトラベルjpは若い力に支えられている。LINEのO2Oカンパニー・トラベルサービスチームの高木翔太さん(27歳)、O2O事業部LINEトラベル・プロジェクトリーダーの本間洋也さん(25歳)とも、携帯電話がガラケーからスマホに移行したのは高校生の時。スマホがすんなりと生活の一部となったいわゆるデジタルネイティブだ。高木さんは中途入社、本間さんは新卒入社。オンラインで繋がることに躊躇がなく、アナログの代替ではない「デジタル感」を持つ彼らがLINEトラベルjpでやってみたいことは。彼らのデジタル遍歴と合わせて聞いてみた。

LINEの登場でガラケーからスマホへ

トラベルボイス おふたりは、デジタルネイティブと言われている世代ですが、ガラケーからスマホへの転換期を覚えていますか。

本間さん 高校生の時にガラケーからiphoneに変わりました。それほど大きな衝撃はなく、スマホになってゲームが面白くなったというくらいの印象でした。

高木さん 僕も高校生のときですが、ガラケーのときにモバゲーが流行っていて、スマホになってそれが進化したという感じでした。驚きといえば、PCでFlashゲームをやってたんですが、それがスマホで出るようになったことですね。

本間さん やはりLINEの登場は大きかった。LINEをするからスマホに変えるという動きはありましたね。高校生の時、みんなLINEをやるためにスマホに買い替えました。

高木さん 昔はメールアドレスに自分のニックネームや、好きなサッカーチームの名前を入れたりして、メールアドレスを変えたりするのも流行ってましたけど、今では仕事以外ではメールはほとんど使いません。なにか会員登録をするときぐらいです。

本間さん 僕もそう。強いて言えば、検索くらいですかね。

トラベルボイス 世代によっては、いまもオンラインショッピングでクレジットカード情報を入力するのを躊躇する人もいます。

高木さん そのようなことは考えたこともないですね(笑)。何も考えずにパスワードをスマホに保存してます。自分が使っているサービスで個人情報が漏洩したというニュースは聞きますが、特に危機感はないです。とにかく面倒なことはなるべく省きたいという思いです。

本間さん 僕もそうですね。もちろん仕事では情報漏えいには気をつけていますが、いちユーザーとしては(自分の情報が漏えいすることには)それほど気にかけていませんね。

学生時代はサッカーに夢中だったという高木さん

紙のガイドブックの世界観をオンラインで

トラベルボイス オンラインでの旅行体験はいかがですか。

高木さん 高校生のときは使えるお金に限りがあったので、相談のために旅行会社の店頭に行くことは割とありました。大学生になって自分で使えるお金が増えてくると、自分でスマホやPCで調べて計画をするようになりました。

本間さん 学生時代バックパッカーでした。アメリカを横断したときは、最初と最後だけ日本で決めて、あとは現地でネットで宿泊先を調べて予約しました。名前も知らない現地のOTAも使いました。でも、友人には店頭でパッケージを買う人もいましたから僕みたいなのは珍しい方かもしれません。

高木さん 僕も行く場所だけ決めて、何をするかは現地で決める。事前に旅行雑誌を買って調べてすることはなかったです。

本間さん 旅行前に紙のガイドブックを買いましたけど、旅行中はずっとバックの底敷になってました(笑)。

トラベルボイス オンラインの旅行比較サイトを運営されているなかで、紙のガイドブックをどのように見ていますか。

高木さん 今でも本屋に旅行雑誌はいっぱいあります。それを見てこなかった身からすると、それがなくても旅行はまったく楽しめる。たとえば、レストランを選ぶにしても旅行雑誌にはマイナスのこと何も書いていないですよね。選ぶ側からすると、いい評価でないものも見てみたい。その点、ネット上には実際に行ったことがある人の口コミやレビューが多いので、そっちのほうが信憑性はあるのかなあと思っています。

それでも、紙の旅行雑誌は今後も需要はあると思います。同時にオンラインではそれを変えられるチャンスでもある。LINEトラベルjpでは、コンテンツを充実させて、旅行雑誌を見ていた人でも楽しめる世界を作っていければいいなあと思っています。

本間さん 雑誌のいいところは、あの限られたスペースの中だけの情報で、それ以上増えないところじゃないでしょうか。読者は迷わない。選択肢が限られているから選択が楽というところはあります。ネットの世界はあまりにも選択肢が多いので、紙の世界観をネットに取り入れていくことがこれから重要になってくる気がするんです。

学生時代には一人旅でアメリカ、アジア、南米などを旅した本間さん。

壁はAPI接続とスピード感

トラベルボイス 旅行のサービスを構築していくうえで、異業種から参入して壁を感じることはありますか。

本間さん 旅行はそれほどIT化が進んでいる業界ではないという印象です。他のサービスに情報を出すという前提でサービスが構築されていない部分が多い気がします。自社サイトには表示されているが、外向きに使われるように受け口が用意されていない。API接続の部分ですね。LINEトラベルはプラットフォームなので、情報をひとつに集めたいんですが、顧客と話しながら情報を出しもらうのに時間がかかる。サービスを構築するときにAPI接続を一緒に作ればいい話で、それほど大きな仕事ではないんですが、そこが旅行業界の遅れにつながっているんじゃないでしょうか。

その壁を開けていくのがLINEのような異業種の参入なんでしょうね。LINEトラベルjpとしては、情報の使途をしっかりと説明して、データを出していいだいて、一緒にサービスを構築していくことになります。

高木さん LINEトラベルと連携していただければ、紙とは違い、いろいろな計測もできるし、おもしろい取り組みも一緒にできます。同じ世代の相手と話すと、SNSのおもしろい活用法などが出てきますが、その取り組みを社内で承認を取るのに苦労しているとよく聞きます。担当者同士で合意ができても、実際に動き出すまで数ヶ月も半年もかかることがあるんです。正直なところ、LINEトラベルjpで挑戦してみようと思っていだたけるところはまだ多くありません。しかし、実際に送客を飛躍的に伸ばしているクライアントもあります。

本間さん LINEトラベルjpは業界内では知られていると思いますが、一般ユーザーのあいだの認知はまだまだですね。

高木さん メタサーチが直販していると思っている一般ユーザーもまだ多いです。

ポイントバックで大きな反響、パーソナライズも重要テーマ

トラベルボイス これまで実施したマーケティング施策の中で手応えがあったものは?

高木さん LINEトラベルjp公式アカウントのお友だち登録数は1600万人以上います。そのプラットフォームで、たとえばOTAのタイムセール情報や割引情報を流すと、そのOTAを知っているユーザーが反応して、購入という結果が出ています。自社によるマーケティングだけでなく、もっとパートナーと一緒にLINEトラベルjpのブランディング力を上げていく必要があると思っています。

また、反響が大きかったのがポイントバックですね。LINEトラベルjpはLINEプラットフォーム上で展開しているので、すでにログインしている状態。これは大きな利点で、会員登録などでユーザーの情報を取得せずとも、LINEポイントを付与することができます。ですから、タイムセールやプッシュ情報などはLINEとすごく相性がいい。提携先のキャンペーン情報などを流すとものすごく効果が高いですね。

本間さん 現在、LINEアプリとベンチャーリパブリックのウェブがタッチポイントになっていますが、LINEアプリでの稼働はまたまだ上げられると思っています。

高木さん LINEのアクティブユーザーは月間8000万人ですが、そのユーザーに対してLINEトラベルjpの認知を高めていく必要があると思っています。

トラベルボイス いま、ユーザーは何を求めていると思いますか?

本間さん 最近、SNS疲れとよく言われていますが、あれは情報疲れなんでしょうね。旅行も同じことが言えるんじないでしょうか。

いろいろなメディアがあり、いろんな旅行記事があって、行きたいけど決められないという傾向がある気がしています。ですから、プラットフォームとしては、いかに情報を集約して、どう表現するか。そこが力を入れていくところかなあと思っています。その意味ではパーソナライズが大事になってくると思います。ある程度属性データは取れているので、出せる情報は絞れます。細かいところを地道にやっていくことがユーザーメリットにつながると思います。

高木さん one to oneのコミュニケーションはやろうと思えばできます。特別にデータを取得せずとも普段のLINE上のデータをもとに提案することもこれから必要になってくるでしょうね。

トラベルボイス 最後に今後の抱負を聞かせてください。

高木さん オフラインだったものを簡単にオンラインにするサービスは作っていきたい。新しい旅行を発見できる場所としてLINEトラベルjpに注目してもらえればと思っています。

本間さん これからチャット機能も確実に強まっていく。友人と旅行するときにもっと便利になるプランニングの領域にも入り込んでいきたいですね。

高木さん これからもどんどんパートナーは増やしていきたいですね。ポイントバックをやっている期間とやってない期間ではコンバーションが5倍くらい違うこともあります。OTAが自社でキャンペーンをやっても、それを発信する手段は限られています。LINEポイントをフックにLINEトラベルjpというプラットフォームを活用していただければと思っています。

デジタルネイティブが旅行業界に風穴を開けるか。

聞き手 トラベルボイス編集部 山岡薫


記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹

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