世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)は、このほど国際民間航空機関(ICAO)が策定した安全な航空輸送ガイドライン「ICAO’s ‘Takeoff: Guidance for Air Travel through the COVID-19 Public Health Crisis」への支持を表明した。
同ガイドラインは、新型コロナウイルスにより大幅縮小となっている国際航空需要の回復に向けて、ICAOのタスクフォース(CART)が、IATA(国際航空運送協会)、WHO(世界保健機関)、各国政府、医療専門家、航空関係者などの協力を得て作成。航空機での移動に伴うコロナ感染リスクを抑制するための対策をまとめたもの。
これに先立ち、民間の旅行・観光業者が加盟するWTTCでも、旅行会社、ツアー催行会社、ホテル、レンタカー、鉄道、MICE関係各社向けに「安全な旅(Safe Travels)の手引き」を作成していたが、同内容とも相互に補完し合うものと評価した。
さらにWTTCでは、賛同する事業者向けに「安全な旅」スタンプを発行する予定だが、今回のICAOガイドラインと「安全な旅の手引き」の両方を導入するデスティネーションや国にも、同スタンプを活用してもらいたい考え。
WTTCのグロリア・ゲバラCEO兼理事長は「旅行に関わるあらゆる分野で、安全対策と衛生対策が進むことが、旅行者からの信頼を取り戻すカギであり、旅行・観光の再開につながる」とICAOによる航空ガイドラインを歓迎する一方、各国政府には「一刻も早くこれを実現してほしい」と要望。旅行・観光事業者はすでに生き残れるかどうかの厳しい状況にあると窮状を訴えた。
WTTCでは昨年、過去20年間に起きた様々な危機的な出来事について、90事例を取り上げて調査したレポート「クライシス対策(Crisis Readiness)」を作成しているが、ここでも官民が協力し、共通の基準やルールを策定することが重要であり、危機からの回復に要する時間の短縮に役立つとの見解を示している。