フォーシーズンズホテルが2021年に入り、従業員の採用を急拡大している。同ホテルが2021年2月に募集した新規採用枠は431人だったが、翌3月には889人に倍増。職務内容は、シニア・レベルからサポートスタッフまで幅広く、対象施設はホテル119軒および居住施設44軒となっている。 世界4000社を顧客に持つデータ分析会社、グローバルデータの調査によるもの。
グローバルデータ社によると、フォーシーズンズによる2021年1月~6月14日までの求人募集は約4000人に達し、昨年一年間の募集数をすでに上回った。地域別では米国とカナダが多く、2020年1~12月の募集数と比較すると、それぞれ47%増と25%増となった。アジア太平洋地区での募集は、タイ、日本、韓国などが前年比プラスとなった。その他、コスタリカ、セイシェル、アンギラ、ブラジル、イタリアでも新規採用が活発だ。
こうした状況について、同社のビジネス・ファンダメンタルズ担当アナリスト、アジェイ・タルリ(Ajay Thalluri)氏は、旅行制限が一年ほど続いた後で、ようやく世界各地でホテルが営業再開していること、さらにフォーシーズンズの場合、これから新規開業するホテルのプレ・オープニング・チームも募集していることが理由としている。
一部の国で、他よりも募集が増えているのは、「旅行先として需要だけではなく、新型コロナウイルスのワクチン接種率が高いことが要因では」(同氏)との見方を示した。
また同氏は、フォーシーズンズの採用における特筆すべき点として、ビジネス環境が変化している現状を踏まえ、効率的な財務マネジメント能力を重視する姿勢を挙げた。例えば「料飲担当ディレクター」の職種では、変化するビジネス環境に適宜、対応や調整ができること、高い財務管理能力が求められている。
一方、オペレーション職の求人数は非常に多く、特に増えているのが調理担当者、次いでオペレーション・マネジャー、清掃係。フォーシーズンズでは、給仕係、ハウスキーピングのスタッフ、客室係、ランドリー係などの採用では、契約時に1000ドルのボーナスを提供している。
「フォーシーズンズでは、各地でのホテル営業再開に加え、日本、メキシコ、イタリア、米国で新規開業を控えている。プレ・オープニング・チームの必要に応じて、あと数か月間、さらに募集は増えるのではないか」とタリル氏は話している。