世界旅行ツーリズム協議会、女性・若者の雇用の回復遅れに危機感、一方でガイド育成に150億円投じる国も

世界のホテルや航空会社、旅行会社など観光産業関連企業で構成される観光団体「世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)」は、サウジアラビア観光省と共同で、観光産業における女性と若者の雇用に焦点を当てた「旅行・観光雇用の社会的傾向」レポートをまとめた。

それによると、世界の観光産業における女性の雇用者は2019年の約4840万人から、コロナ禍の2022年には約4200万人に減少。また、若者も約1900万人から約1600万人に減少した。

レポートでは、「旅行・観光業界で働く約7000万人がパンデミック中に職を失った。そのなかでも、女性と若者は、ホスピタリティ業や飲食業での就労が多かったため、大きな影響を受けた」と指摘。そのうえで、「将来訪れる危機に対して、女性と若者が不当な影響を受けないように対策をするべき」と提言している。

最新データによると、2023年には旅行・観光セクターのGDP貢献額はコロナ前の水準よりも29.1%上昇した。しかし、レポートでは、「女性や若者は、非正規やパートタイムで低賃金の仕事に留まっている」と指摘。WTTC社長兼CEOのジュリア・シンプソン氏は「女性と若者は観光業界の屋台骨を支えているが、依然として大きな障壁に直面している」と危機感を表した。

サウジアラビアのアハメド・アル・ハティーブ観光大臣は、レポート発表にあたって、同国の「ビジョン2030」について触れ、2024年には、ツアーガイドのトレーニングのために3億7500万リアル(約150億円)を投じていると紹介。また、同国の観光業における女性の雇用の増加率は、G20諸国の中で5番目に高いと説明した。

※リアル円換算は1リアル40円でトラベルボイス編集部が算出

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