キャセイパシフィック航空(CX)は、2013年上半期(2013年1〜6月)の決算を発表した。それによると、最終損益は前年同期9億2,900万香港ドル(改定値)の赤字から2,400万香港ドル【1.0香港ドル=約12.71円(6月末)】の黒字となり、一株あたりの利益は前年同期の23.6香港セントの損失(改定値)から0.6香港セントとなった。総売上高は前年同期比0.6%減の485億8,400万香港ドル。これにともない、CX取締役会は2013年上半期(6月30日まで)における一株あたり配当金を0.06香港ドル(前年同期は無配)とし、総額2億3,600万香港ドルを10月3日に支払うことを発表した。
2013年度上半期も引き続き厳しい状況下での事業展開を強いられ、旅客部門では改善が見られたものの、主要な航空貨物市場での需要の低迷と高止まりする航空燃料価格がマイナスの影響として現れ、また関連会社による損失も増加した。
CXグループでは2012年を通して運航スケジュールの見直しや輸送能力の削減、燃料効率が劣る旧来型航空機の退役といった方策を講じた結果、2013年上半期では燃料や機体整備に関連する運航コストが大幅に縮小されて収益の改善に繋がった。一方でCXおよび香港ドラゴン航空(KA)は、新機材や新たなプロダクトの導入、香港国際空港での航空貨物ターミナル新設など長期的に利益に繋がる分野への大規模な投資を継続した。
2013年上半期におけるCXグループの燃料費は同8.5%減だったものの、依然として最大のコスト項目であることに変わりはなく、上半期のコスト全体の38.8%を占めている。このため、CXでは2013年4月、燃料価格が短期的に下落した機会を捉えて、燃料ヘッジを2016年まで延長している。
2013年上半期における旅客部門の業績はCX、KAともに改善。輸送能力は同4.8%減となったものの、収入は同0.8%増の349億7,800万香港ドルに達し、座席占有率も1.2%ポイント増の81.3%となった。平均旅客単価(旅客1人を1キロメートル輸送することで得る収入の平均)は4.4%改善し69.0香港セントとなった。長距離路線での旅客需要は全クラスともに堅調に推移したものの、輸送能力増強を図った中近距離路線では需要が弱含みとなり平均旅客単価を圧迫する格好となった。
貨物部門における業績は2011年4月以降の長引く需要低迷による影響を受け、2013年上半期の収入は同5.2%減の112億7,800万香港ドルに留まった。CXとKAを合わせた貨物輸送能力は1.8%減少し、貨物占有率は1.9%ポイント低下の62.4%、貨物単価(貨物1トンを1キロメートル輸送することで得る収入の平均)も3.3%減の2.33香港ドルとなった。CXでは、需要低迷に伴ない、コスト削減の観点から旅客便の貨物スペースを活用した貨物輸送の強化を図った。今後、香港国際空港で開業したCXの新貨物ターミナルが2013年第4四半期にフル操業を開始することで、貨物事業のコスト削減と業務効率向上が期待されている。
CXグループでは継続的に最新鋭機材の導入を進めており、2013年上半期にはA330-300型機2機、ボーイング777-300ER型機3機、ボーイング747-8F貨物専用機1機の計6機を新たに受領するとともに、ボーイング747-400型4機を退役させた。また2013年3月にはCXグループ、ボーイング社、中国国際貨運航空、中国国際航空の間で交わされた貨物専用機の取引に関する包括的契約によって、CXは新たにボーイング747-8F貨物専用機3機を購入する。同型機の受領は2013年下半期に予定。この包括的契約には、ボーイング777-200F貨物専用機8機の購入のキャンセル、ボーイング777-200F貨物専用機5機のオプション契約、ボーイング747-400BCF(旅客機転用型貨物機)4機の売却が含まれている。この4機のうちの3機はすでに引き渡しを終えている。
2012年のコスト削減にともなって減便となっていた長距離路線の旅客便は、2013年9月までに全て運航を再開する。また6月には香港/ロンドン線を毎日4便から5便へと増便しており、10月には週4便でモルディブのマレに就航する予定(政府認可申請中)。さらに2014年3月にはニューアーク空港へのデイリー便の運航開始を予定している(政府認可申請中)。一方、KAは香港とダナン、温州、ヤンゴン、鄭州の各都市を結ぶ路線を新たに開設することでアジア域内でのネットワーク拡大を図る。加えて、2013年10月からは季節運航でカンボジアのシェムリアップへ週3便での運航開始を予定している(政府認可申請中)。貨物便では、CXは2013年第4四半期に香港/グアダラハラ(メキシコ)線で運航を開始する。
プロダクトの分野では、2012年に導入を開始したプレミアム・エコノミークラスによって、エコノミークラスの平均旅客単価が改善。また2013年1月より導入を進めている中近距離路線用の新ビジネスクラスについては、2014年12月までに対象となる全機材への装着が完了する予定だ。このほか、今年7月にはボーイング777-300ER型機のファーストクラスのリフレッシュを図るための改良を開始。KAでも新ビジネスクラスとエコノミークラス、および最新の機内エンターテイメントシステムの導入を進めている。香港国際空港のラウンジについても今年2月に「ザ・ウィング」のファーストクラス・ラウンジの改装を終えるとともに、5つめの出発ラウンジとなる「ザ・ブリッジ」の開業を今年後半に予定している。