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2014年5月6日〜9日、メキシコ有数のリゾート地カンクンでラテンアメリカ最大規模の観光フェア「ティアンギス・トゥーリスティコ・メヒコ2014(以下ティアンギス2014)」が開催された。開会式には大統領も出席して、好調なメキシコ観光業と大規模な投資について語るなど、メキシコが国家として観光を重要視する姿勢が示されるトレードショーだった。「観光は成長の重要な戦略的アクセル」というメキシコの観光とティアンギス2014をリポートする。
▼観光業は成長の戦略的アクセル
観光インフラの整備に約1兆5000億円を投資
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世界 61ヶ国からバイヤーが来場、3万を超えるビジネスアポイントが達成されるなど記録的な数字となった「ティアンギス2014」。今年で39回目を迎えるトレードショーの開会式では、開催地カンクンのあるキンタナ・ロー州のロベルト・ポルへ・アングロー州知事、クラウディア・ルイス・マシエウ観光大臣とエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領らによるテープカットで始まった。
州知事、観光大臣らは、開会式のスピーチでメキシコにおける観光産業が経済成長に貢献し、雇用の創出をもたらす点を強調。さらに、大統領は観光業が「メキシコの成長のため重要な戦略的アクセル」であると語り、「77億ペソ(約616億円)を投資。さらに1800億ペソ(約1兆4400億円)を 保護すべき歴史的ランドマークやビーチの整備を中心に、デスティネーション、コンベンションセンターの開発とプロモーション、さらに道路と空港の整備 などメキシコの観光をアップグレードするためのインフラ整備に当てる」ことを表明し、その規模の大きさを語った。
また、2013年の観光業について「2370万人の観光客がメキシコを訪れ、外貨獲得高も最高記録を遂げた。2014年1月1日から2月28日にはすでに450万人の観光客を迎え、前年比で15%増加を記録している」として好調さをアピールした。
▼ティアンギス2014は「記録的な成功」
開催地への経済効果は16億円に
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クラウディア・ルイス・マシエウ観光大臣 によると、ティアンギス2014は2013年に比べて参加国数が42から61カ国に増加、5大陸から847名のバイヤーと400のメディアが参加し「記録的な成功を収めた」。食・ホテル・トランスポーテーションなどに対する消費、メディアによるカバー効果などすべてを包括すると、2億ペソ(約16億円)の効果をキンタナ・ロー州にもたらしたとみられている。
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会場となったラカム・センターでは、32エリア(31州と1連邦区)が、観光の魅力を歴史や文化、食文化など数々のプレゼンテーションを実施。開催地である国際的リゾートカンクンと昨今、高級リゾート地として注目のリビエラ・マヤを抱えるキンタナ・ロー州、同じくビーチリゾートやゴルフのアクティビティで日本人にも人気のロスカボスを抱えるバハ・カリフォルニア州、次回開催地アカプルコのあるゲレーロ州などはリゾートとしての魅力をアピールした。
マリアッチの故郷であり、テキーラで有名なグアダラハラ州、メキシコ中央高原にあり、歴史的なコロニアル建築が世界遺産にも登録されているグアナファト州、同じくコロニアル様式の街並と先住民文化、特色ある食文化を誇るオアハカ州などがメキシコらしい多様な文化をアピールしていた。
リゾートらしく自然とエンターテインメントを展示するカンクン
地ビールをプロモーション バハ・カリフォルニア州
サカテカス州はメキシコ革命時の銃弾を身につけて
さまざまな民族衣装が美しいオアハカ州
会場内、ゲレーロ州のセクションにて民族衣装の女性
トルティージャの上に食紅で染めた豚ミンチ。
初日のメディア・レセプションが行われたカンクン郊外のシカレ(Xcaret)は、日本人にも人気のエコ・テーマパーク。ここでのショーは、各州の特徴ある音楽や踊り、キリスト教の布教とメキシコ軍の侵攻から独立にいたる歴史をダイナミックに繰り広げるもの。様々な文化と歴史的背景が醸成するメキシコの魅力が凝縮されたものだった。
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今回、「ティアンギス 2014 」に参加してみて、メキシコ各州の文化、歴史、食、自然などの多様性にあらためて気づかされ、記者自身もその様々な側面に魅了された。日本人にはまだ、その一部の魅力しか伝わっておらず、メキシコへの旅行者拡大にはまだまだ余地があるといえるだろう。
来年、40回目となる「ティアンギス」開催地はゲレーロ州のアカプルコ。さらなるメキシコの観光促進へのバトンが渡された。
- 取材・文:小野アムスデン道子
- 編集:トラベルボイス編集部