楽天トラベル、契約宿泊施設の管理画面もスマホ対応へ、今後はモバイルとインバウンドを強化

楽天は、2014年7月7日「楽天トラベルEXPO」と題した楽天トラベルの契約宿泊施設を対象にしたイベントを実施した。同社は集まった1000を超える契約施設に対して、今後の取組みとしてモバイルの利便性を高めることや拡大するインバウンドの取込みに注力することを発表。また、同社代表取締役会長兼社長、三木谷浩史氏(写真右)が登壇し、先般発表されたLCCエアアジア・ジャパンへの出資で生まれる可能性について語った。

イベント冒頭で挨拶に立った三木谷氏は、来場した契約宿泊施設に対してLCCに出資することを改めて説明。「ITテクノロジーとアントレプレナーシップ(起業家精神)が生み出した新しいビジネスモデル(三木谷氏)」であるLCCへの出資は、新たな旅行需要の創造に期待するもので、日本でも欧米並みにLCCの供給が増えることで「今まで旅行しなかった人たちの大きなビジネスが展開できるのではないか(三木谷氏)」とみている。そして、楽天トラベルの契約施設に対して国内旅行とインバウンドの両面で「送客に役立てていきたい。」考えを強調した。


▼旅行者と契約施設の双方のスマホ利便性向上へ

IMG_5944楽天トラベルの2014年下期のビジネス戦略として挙げられたのは、「モバイル」と「インバウンド」。楽天の執行役員ラベル事業長の山本考伸氏(写真右)は、これまで同社のサイト開発での取り組みが「まずパソコンで次がスマホ」という流れだったことを明かした。しかし、日本国内のスマートフォン普及率が3割と拡大が続いており、「(スマホが)別のものという状況ではない」という段階に至ったという。

今後のモバイル強化の取組みとしては、開発段階でパソコンとスマートフォンで同時に開発を進める。すでに、新たな税率となった消費税で内税と外税を表記することなどを実施。今後は、宿泊施設の価格表示を複数泊の場合に合計金額で表示することなどを、両デバイスで同時にアップデートしていくことで、ユーザーの利便性を高める。また、予約のステップも同様に改善していきたい考えで、山本氏は特に法人を対象にしたページでの「スマホ最適化」をあげた。

一方、契約施設側の管理画面でもモバイル対応を強化。スマホ、タブレットで使いやすいものにしていく計画で、2014年度中には残室確認、画像のアップロード、口コミの返答などでモバイルからの操作ができるようにする。将来的にはスマホ版のカスタマイズページにも対応していく方針で、テンプレートを利用することでスマホを利用して簡易にページ作成を可能にするという。


▼インバウンド事業を強化

サイトの多言語化や日本らしいコンテンツ発信へ

会場内

楽天は、トラベル事業でインバウンドにさらなる注力をしていく。三木谷氏は、2020年に向けて訪日旅行が爆発的に伸びていくと予想される中でインバウンド・ビジネスを「一歩踏み越えて市場拡大へ向けて盛り上げていきたい」と語る。三木谷氏と友人関係にもあたるエアアジアCEOのトニー・フェルナンデス氏が、日本の2020年までに外国人旅行者2000万人とする目標が「少ない」と考えていることも紹介し、有望な市場であることを強調した。

2013年の同社インバウンド事業は、宿泊流通額が76.8%増と大きな成長を見せている。しかし、同社インバウンド推進グループマネージャーが山上哲平氏は「まだまだ伸ばす余地がある」との考えで、「個人旅行(FIT)」「リピーター」「多様化」の3つのポイントを軸にサイトの改善をしていく方針を明らかにした。

具体的には、外国語サイトのリニューアルを実施。これまで、英語サイトのみに注力してきたが多言語化を進める。韓国語、中国語繁体字、簡体字、その他の言語に着手し、スマートフォンとパソコンで同じコンテンツを提供。また、温泉や旅館などの日本独自のコンテンツを宿泊施設側が発信できる環境を整える。

なお、楽天全体の方針としては、最先端技術とノウハウを武器に「心あたたまるサービスをつくっていく」(三木谷氏)。これは、IT技術が発達するなかで人々の消費行動がより「ヒューマライゼ―ション化していく」との予測から。物販を主とする楽天だが、モノの「Story(物語)」や作り手の思い、つくられる背景などを伝えることが今後のECビジネスに重要と捉えている。この考え方はトラベル事業にも適用されるもので、三木谷氏が語った2014年のインターネットビジネスの方針については後日掲載する。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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